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スズキ(鱸)の話/おめでたい出世魚/語源や歴史の話題

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縁起の良い魚といったらスズキ!

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スズキは出世魚

スズキは出世魚です。

出世魚は成長するに従って呼び名が変わります。出世魚と呼ばれるのは、このスズキ、ブリ、そしてボラの3種類。ここにコノシロを加えるかどうかは諸説あるようです。スズキの場合、以下のように名前が変わります。

  1. セイゴ 約30センチまで
  2. フッコ 約60センチまで
  3. スズキ 60センチ以上の大物

地域により名前が違うのですよ。愛知県ではフッコは、「マタカ」と呼びます。

関西ではセイゴ(25cm前後)→ハネ(60cm前後)→スズキ と名前が変わります。

古くは、江戸時代の元禄年間に医家の人見必大(ひとみひつだい/野必大/やひだい/ともいう)が書いた「本朝食鑑」には、小さなスズキを「世比古」(ぜひこ)と呼ぶことなどが記されています。

本朝食鑑』(ほんちょうしょっかん)は、人見必大によって江戸時代に著された本草書。12巻10冊。元禄10年(1697年)刊。日本の食物全般について、水火土部・穀部・菜部・菓部・禽部・鱗部・獣畜部にわかち、品名を挙げて、その性質や食法などを詳しく説明する。食鑑中の白眉とされる。

ウィキペディアより

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スズキは和名

スズキは学問上の「和名」です。学名は「ラテオラブラックス·ジャポニクス Lateolabrax japonicus です。

シーバス?

スズキをシーバスと呼ぶこともあります。これはは俗称です。ルアー釣りが盛んになって、スズキをルアー(疑似餌)を使って釣る場合に、シーバスという呼び方をするようになりました。ルアーフィッシングが日本に普及し始めた60~70年代当時、日本スズキに対する適当な英語名がなかったことからつけたんですね。なんかかっこいい名前ですね。

これは、シー(海)にいるバス(淡水のブラックバスが由来)を組み合わせた造語です。

スズキの語源は諸説あり

スズキの語源はいくつもあります。その例を書きますね。

  • ススキ、すなわち進むという意味
  • ススは小さいということ、口が大きいのに比べて尾が小さいというということからスズキ
  • 口が凄まじく大きいのでスサマジグチ、それがスズキになった
  • 鱗の色がススケた(煤けた)ようなので、これがススキになった
  • 古名のスヂユキ(筋雪)が転じたもの
  • スズキは錫を好むという説 「重修本草網目啓蒙」に、「スズキは錫を好み、錫を使って釣るとよい」とし、スズキの名もこれに由来
  • ススイだように身が白いことからであるとの説
  • スズキのススは清し(すずし)という意で、キはこれも清らかから 肉がすずしく清らかという意味
  • 磯で獲れる魚であることから、磯(イス)を重ねた「イスイス」に長さを表す寸(キ)がつき「イスイスキ」となり、「イス」の挟母音「イ」が脱落した「ススキ」が転じたもの

「本草綱目」は明の李時珍(1518-1593)が編んだ薬物書(本草書)で、万暦18(1590)年に刊行を開始しています。その「本草綱目」に基づき、和名、説明を加えたものが「重訂本草綱目啓蒙」です。記録としては、弘化4(1847)年の序が附されています。

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日本と縁が深いスズキ

スズキの学名、「ラテオラブラックス·ジャポニクス Lateolabrax japonicusからもわかるように日本との縁が深いです。日本各地はもちろん、東シナ海から台湾、南シナ海北部の沿岸に分布している海産魚がスズキです。

縄文時代の貝塚からその骨が出土しているので、太古からの付き合いですね。縄文時代の内湾漁撈は,スズキとタイを主な漁獲対象に展開したと考えられているのです。

神話の世界では、 国譲りで建御雷神を出雲の大国主神がもてなした饗宴の料理に「口大の尾翼鱸(くちおほのおはたすずき)」が登場します。

大国主命

「古事記」、大国主命の国譲り「葦原中國の平定」の章の一文が以下です。「千尋もある長い縄を打ち伸ばし(今日の延縄のことと思われます)、釣りをする海人が、「口大之尾翼鱸(くちおほのおはたすずき/口の大きな尾ビレがぴんと張った立派なスズキ)」を、ざわざわと引き上げ」「天の眞魚咋(魚の料理)として献上した」とあります。

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平家物語で出てくるスズキ

スズキは出世魚で、この魚のめでたさは、僕の大好きな「平家物語」にも書かれています。

安芸守の時代の平清盛が伊勢の海から熊野に向かう途中、その船に大きなスズキが飛び込んできたのです。清盛は自ら船上で料理して一族郎党に食べさせた。それが平家一門繁栄のきっかけになったと伝える話です。

熊野詣でなら精進潔斎(飲食を慎み身体をきよめ、けがれを避けること)すべきときです。しかし、あえてスズキを食したのは、周の武王の船に大魚が飛び込んだ故事にならったからであるといいます。

平家物語 鱸より

平家かやうに繁昌(はんじやう)せられけるも、熊野権現(くまのごんげん)の御利生(ごりしやう)とぞきこえし。其故は、古清盛公(いにしへきよもりこう)、いまだ安芸守(あきのかみ)たりし時、伊勢(いせ)の海より船にて熊野へ参られけるに、大きなる鱸(すずき)の船に躍り入(い)りたりけるを、先達(せんだつ)申しけるは、「是(これ)は権現の御利生なり。いそぎ参るべし」と申しければ、清盛宣(のたま)ひけるは、「昔周(しう)の武王(ぶわう)の船にこそ、白魚(はくぎよ)は躍り入りたるけりなれ。是吉事(きちじ)なり」とて、さばかり十戒(じつかい)をたもち、精進潔斎(しやうじんけつさい)の道なれども、調味(てうみ)して、家子侍共(いへのこさぶらひども)に食(く)はせられけり。其故にや、吉事(きちぢ)のみうちつづいて、太政大臣まできはめ給へり。子孫の官途(くわんど)も、竜(りよう)の雲に昇るよりは、猶(なほ)すみやかなり。九代の先蹤(せんじよう)をこえ給ふこそ目出たけれ。

現代語訳

平家がこのように繁栄したのも、熊野権現の御利益(ごりやく)であると言われていた。

その訳は昔、清盛公がまだ安芸守だった頃、伊勢ノ海から船で熊野へ詣でられたが、大きな鱸(すずき)が船に跳び入ったのを、先導の修験者が申し上げたのは、「これは権現の御利生でございます。急いでお食べなさい」と申し上げたので、清盛殿が申されたのは、「昔周の武王の船に、白魚が跳び入ったそうだ。これは吉事である」といって、あれほど十戒を守り、精進潔斎をしてきた道中ではあるが、調理して、家の子、侍どもに食べさせられた。そのせいか、吉事だけが続いて太政大臣まで極められた。

子孫の出世も、竜が雲に昇るよりもなお、速やかであった。九代の先祖をお越えになられたのはまことにめでたい事であった。

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僕の釣り

僕はスズキの小さいもの、セイゴであれば釣ったことがあります。スズキを釣ろうとしたのではなく、マイワシを釣っていた時にセイゴがかかりました。狙っていた魚ではなかったので、釣り的には「外道」です(笑)。

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以上、スズキの話題でした。

 

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