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食べ物のことわざ|山椒は小粒でぴりりと辛い

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山椒は小粒でぴりりと辛い

なりは小さくても気性がはげしく、することにも抜け目がなく、あなどることのできないたとえ。長野辺りでは「山椒は小粒でも実がからい」という言い方をするそうです。

山椒農家さんの写真

 

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山椒の語源

サンショウは、山椒・川椒(せんしょう)、三焦(さんしょう)、花椒(かしょう/ホアジャオ)、椒紅(しょうこう)、椒皮(しょうひ)、巴椒(はしょう)、または、山枡(さんしょう)、蜀椒(しょくしょう)とも書きます。

ミカン科サンショウ属の常用低木ですね。

サンショウは、に多くある「はじかみ」(椒)ということで山椒と書きます。それを音読みにしたものが、さんしょう、ですね。以下のような流れでしょうか。

  1. 山にピリッと辛いものが多くあった
  2. これは「椒(はじかみ)」だ
  3. そこで「山」+「椒(はじかみ)」で、山椒と書き、これを「さんしょう」と呼ぼう!

したがって山椒は漢名ではないのですよ。

漢名とは中国での名称です。 特に、動植物についていうことが多いです。 かんめい、かんみょうとも読みます。

山椒は中国語では、花椒です。

椒という字は

「木」編に「叔」(小さい実)で、小粒の実のなる木という意味です。

椒房(しょうぼう)

他の使い方として、椒房などとも使います。これは、皇后の御殿、または皇后のことです。サンショウは部屋を暖かくして悪気を除くのに役に立ち、また実がたくさんなるので、子孫の多いことを願って壁に塗り込まれたところからきています。

椒蘭(しょうらん)

山椒と蘭ということで、香りの良い植物のことです。

そして、皇后の親類、外戚という意味にも使います。

歯盛(はじかみ)

「はじかみ」は歯盛(はじかみ)の意味もあるようです。この山椒の葉や実を噛むと歯がうずき痛むからという説もあります。歯がうずく辛さのものは他にもあるのので、この説は良くないとしている学者もいます。

古語では

古名は「ハジカミ」です。「ハジカミラ」の略だといわれています。

  • ハジは「はぜる」の意味です。これは、さけて、はじける、ということです。
  • カミラはニラの古名です。香(か)韮(みら)の意味で、においの強い(韮/にら)のことです。

つまり、「ハジカミ」つまり山椒は、果実の皮が開裂し、また味がからくてニラの味に似 いているところからきた名であるとのことだそうです(一つの説です)。

「古事記」神武天皇の久米歌から

みつみつし 久米の子等が 粟生には 臭韮(カミラ)一本 そねが本 そね芽繫ぎて 撃ちてし止まむ

現代語訳:勢い盛んな久米部の者たちの粟畑には、匂いの強い韮が一本生えている。その根やその芽を探し求めるように、敵を探し出して、撃たずにはおくものか。

ここで、「カミラ」という言葉が出てきますね。

後には

後に中国から生姜(しょうが)が渡来します。

これを「呉(くれ)はじかみ」と呼びました。やがて人々が生姜を使うことが多くなり、この生姜を「はじかみ」と呼ぶようになります。そして、山椒は「結実椒(なるはじかみ)」と呼ばれるようになったようです。

山椒の特徴

山椒の実は小球形で初めは青いです。秋になると熟して紅色となります。開裂すると光沢のある黒色の小子を出します。香気(こうき/良いかおり)と辛味があるのが特徴ですね。

夏まだ熟していない実を青山椒と呼びます。

漢方では

漢方で蜀椒(しょくしょう)と呼びます。以下のような作用があるとされています。

  • 芳香性健胃薬
  • 咳き、吃逆(しゃっくり)を止める
  • 蛔虫を駆除する力がある
  • 歯痛に効く
  • ホルモンの分泌を盛んにする

主に、大建中湯(だいけんちゅうとう)、当帰湯(とうきとう)に入っています。

まぶたに物もらいができたとき、宵に山椒の実を丸のまま五粒飲んで眠ると翌朝出来物が治っている、といわれました。このような使われかたもされていたのですよ。

江戸の香辛料売り

江戸時代中期、香辛料売りは江戸の市中をはやしたてながら、売り歩いたそうです。

江戸時代の行商人の姿と売り声を書いた曲亭馬琴の「近世流行商人狂哥絵図」の中に「七味唐からし売り」の売り声が記録されています。

とん/\/\たうからし
ひりゝとからいは さんしよのこ
すわ/\からいは こしようの粉
けしの粉
胡麻のこ
ちんひの粉
とん/\/\たうがからし

原産地は

山椒の木は、中国の四川省、河北省が原産地とされています。

二千年以上も前にできた中国の「詩経」に、東海の諸島にもあることが記されています。このことから、山椒は原始時代から日本列島にあったと考えていいと思います。

記・紀の歌にも 椒(はじかみ)の名が出てきます。この神武天皇の有名な歌の「はじかみ」(通説では「しょうが」ともされている)も、どうやら山椒ではなかったかと思えます。

みつみつし 久米(くめ)の子等が垣下(かきもと)に 植ゑし椒(はじかみ) 口ひくく 吾(われ)は忘れじ撃ちて止まむ

現代語訳:天皇の御稜威を負って戦う来目部の軍勢の垣の本に植えたハジカミは口に入れると口中がヒリヒリするが、それと同じように、相手からの攻撃は手痛いもので私は今もって忘れない。(今度こそは)必ず、撃って打ち破ろう

稗搗節(ひえつきぶし)に唄われている山椒

庭の山椒の木に 鳴る鈴かけてヨー オーホイ 鈴の鳴るときゃ 出てヨー おじゃれヨー

いう宮崎の民謡・稗搗節(ひえつきぶし)に唄われている山椒は、ミズキ科の一種の山茱萸(さんしゅゆ)です。

山椒とは別の植物なんですよ。

男木と女木

山椒にはイヌざんしょ、カラスざんしょ、フユさんしょなどもあります。

いずれもトゲがあって、男木と女木に分かれていて、男木のほうは辛味がなく、味わいが乏しいのにくらべ、女木のほうの葉は香りも高く、食用に供されます。男木と女木はトゲの植えぐあいで見分けられます。左右そろってトゲの出ているのが女木、交互に出ているのが男木です。

朝倉山椒

山椒の一変種、朝倉山椒は、兵庫県朝倉の今滝寺にあった山椒です。

トゲのない山椒なんですよ。普通の山椒より葉が大きいのも特徴です。

果実も大きく普通の山椒の3倍もあります。香気(こうき/よいかおり)が高いところから古来、献上品、あるいは大名の御用となり、諸方へ出回り、ずいぶんと珍重されたようです。現在は全国で作られ静岡県がいちばん多く、奈良、和歌山、兵庫の順に生産されています。

晩春から秋まで、芽、葉、皮、花、実というふうに、季節ごとに使いわけ、重宝するそうですよ。

これは朝鮮から但馬に渡ってきたものです。

色々な使い方 木の芽など、、、

若芽は俗に「木の芽」と呼ばれ、「ゆず」とともに日本料理の二大香味料として、清し汁の吸い口、たけのこの木の芽あえ、豆腐の芽田楽、すしなどに用いられます。

このブログでも使っていますよ!海老の押し寿司に使いました。作り方はリンク先をご覧ください。

花山椒、実山椒は、佃煮にしても賞味されます。

未熟果は「青山椒」とし、塩漬けにして貯蔵することもあるんですよ。

熟した果実を干して粉にしたのが、いわゆる「粉山椒」です。香りもよく保存がきくところから、赤だし、ウナギのかば焼き、鳥、魚の照焼きには欠かせぬ香辛料ですね。

「小粒でぴりりと辛い」果実の辛味成分は、サンショールと呼ばれる一種の酸アミド体だと言われます。

うなぎに山椒

うなぎの蒲焼きには欠かせませんね。

うなぎに山椒をかける文化は、室町時代には始まっていたそうです。山椒は漢方薬としても用いられ、胃腸を温め消化を助ける効果があるそうです。
だから、人々は、栄養豊富で脂ののったうなぎ蒲焼と、山椒との相性はピッタリだと考えたのですね。

江戸時代、江戸の「うなぎのタレ」は、鰻屋によって味付けは違いますが、基本は「醤油と味醂」です。山岡元隣(江戸時代の俳人)の書いた「増補食物和歌本草」(1723)には、やきうなぎは山椒みそよし醤油にて、、、、と記されています


山椒のピリッとした辛さや爽やかな香りが、うなぎの美味しさをより引き立ててくれるので、脂がのっているのにさっぱりと食べられると考えられました。また、抗菌作用もあるため食中毒予防にもいいと考えられました。

その他の使い方

このほか、山椒の木のあま皮は佃煮にして賞味されます。木材は堅さがころ合いで粘りが強く、擂粉木(すりこぎ)の材質としては最良です。これは山椒の木に解毒作用があり、擦った際の木の粒子が、冷蔵庫の無い時代には食あたりを防ぐとされていたそうですよ。そして、杖にも用いられます。

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