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牡蠣にあたった話
磯の香りのする牡蠣は美味しいですよね。僕も様々な料理で牡蠣を「今は」楽しんでいます。しかし、ここに至るまでちょっとした経過がありました。
2000年頃の話です。貝のバーベキューをしていて、気持ち悪くなったことがありました。そんなにひどい症状ではなかったのですが、顔がのぼせるような感覚で、ちょっと息苦しい感じだったと覚えています。その後、もう10年以上も牡蠣は食べませんでした。自分では、「これはアレルギーかな」と感じていました。
アレルギー検査の結果
春になるととても憂鬱になる程、僕は花粉症の症状がひどく出ていたのです。数年前、花粉症の治療法、舌下減感作療法ができるようになったと聞きました。まず杉花粉へのアレルギーがあるかアレルギー科のクリニックで調べてもらいました。ついでにサバ、ハウスダスト、牡蠣のアレルギー検査もしてもらいました。
結果は
スギ花粉:アレルギー反応アリ(やっぱり)
サバ:アレルギー反応ナシ
ハウスダスト:アレルギー反応ナシ
牡蠣:アレルギー反応ナシ!
ではあのあたったような感覚はなんだったのだろう?
牡蠣にあたる原因は主に以下の原因のようです。
- ノロウィルス
- 腸炎ビブリオ
- 貝毒
- アレルギー
ノロウィルス
まず、ノロウィルスの問題ですが、牡蠣は自然にノロウィルスを溜め込むという意見がありますが、どうも違うみたいなのです。調べてみると、ノロウイルスは人間の腸内でのみ増殖するものと判明。本来、二枚貝はノロウイルスを保有していないということもわかりました。そして、保有していないものですから、その体内でウイルスが増殖することもないとされているのだそうです。「あれ?」と思いますよね。
それでは、なぜノロウィルスは牡蠣から検出されるのでしょうか。
どうも、ノロウイルスに感染した人間の排泄物が原因みたいなのです。ノロウィルス感染者の排泄物にはノロウイルスが含まれています。排泄物が下水処理場で浄化処理される際、ウイルスの「大半は」そこで死滅するということ。しかし、わずかに残ってしまったウイルスは河川から海へと流れ込むのだそうです。
ここからがポイントなのですが、牡蠣はプランクトンを餌としているので、「大量の」海水を体内に取り込みます。この大量に体に海水を取り込む際に、海水にノロウイルスが含まれていると、二枚貝はプランクトンと一緒にノロウイルスを体内へ取り込んでしまうのだそうです。
こうして二枚貝の体内にノロウイルスが蓄積され、それを人が食べることで食中毒が引き起こされます。食中毒の原因となる二枚貝では特に牡蠣が有名ですが、そのほかにシジミ、アサリ、ハマグリなどもあります。
どうしたらノロウイルスを防げるか
二枚貝の体内にたまったノロウイルスは、身や表面を洗っただけでは取り除けないそうです。体内のウイルスを死滅させるためには、十分に加熱することが必要。中心部が85~90℃になる状態で90秒以上の加熱が目安として推奨されています。
牡蠣フライでも危ない場合も
また、牡蠣フライでも、中身まで火が通っていないこともあります。ノロウイルスを含んだ牡蠣を不十分な加熱状態で食べてしまうと、ノロウイルスに感染し腸内で増殖してしまいます。
実際に僕は牡蠣フライを食べて気持ち悪くなったことがあります!
ノロウイルスにあたったら
ノロウイルスの場合は原因食品を食べてから12〜48時間の潜伏期間を経て、嘔吐、激しい下痢、腹痛に襲われます。きついですね。
腸炎ビブリオ菌
腸炎ビブリオは、海水や海産の「魚介類」などに生息している細菌です。牡蠣にもあるのですよ。
腸炎ビブリオ菌の特徴
- 塩分を好み、塩分3%前後でよく発育する しかし、水には弱い
- 増殖速度がきわめて速く、短時間で急激に増殖する
- (夏季に多く発生)4℃以下ではほとんど繁殖しない
腸炎ビブリオ菌は真水(水道水)には弱いのだそうです。調理の前に魚介類の体表を十分に洗うことで食中毒を防ぐことが出来ます。(魚の臭みを取るために水で洗うのが効果的なのですが、これも使える方法の一つですね)そして、魚介類の調理に使用した器具、まな板、包丁などは十分洗浄、消毒することも大事です。
腸炎ビブリオにあたった場合の症状
腸炎ビブリオの場合は12時間前後の潜伏期間後に耐えがたい腹痛、おう吐、頻繁な下痢といった症状が出るそうです。こうなりたくないですね。
貝毒
貝毒とはホタテガイ、カキ、アサリ等の二枚貝が「有毒プランクトン」を食べることで毒化 したものだそうです。毒化した貝を人間が食べることで食中毒を起こすことがあるので注意が必要ですね。貝毒には、 症状により麻痺性貝毒、下痢性貝毒などがあります。
麻痺性貝毒は
フグ毒による中毒と非常に良く似ており、急性のものです。食べてすぐに異常を感じ、早い時には2時間以内で亡くなることもあるのだそうです。これは危険ですね。筋肉が麻痺し、頭痛・めまい・吐き気を伴い、手足のしびれ、麻痺、呼吸困難を引き起こす神経性の食中毒です。
下痢性貝毒は
下痢性貝毒の症状は、嘔吐、下痢、腹痛を伴う急性の胃腸炎を起こすことです。 通常食べる量では死亡しないとのことです。
注意点
麻痺性貝毒、下痢性貝毒とも、家庭料理程度の加熱処理では毒性は落ちません。
各都道府県の水産課などの発表をまめに見て判断するしかないです。
ちなみに、2020年、兵庫県によると、11月30日におこなわれた検査の結果、規制値を超えた貝毒が検出されました。その場所は、姫路、たつの、相生、赤穂各市の4地点。養殖業者には、ただちに出荷の自粛や、11月30日の検査日以降に出荷された牡蠣の回収を要請しました。
僕は兵庫県たつの市室津に行き牡蠣を買って帰った数日後に上記の発表があったのですよ。その後、しばらく牡蠣は販売されなかったし、上記各地の「牡蠣祭り」は中止となりました。このように自治体の発表は迅速に行われます。2021年になり、兵庫の牡蠣は市場に出回るようになり僕も美味しく食べています。
アレルギー
牡蠣アレルギーの場合は、生牡蠣だけでなく牡蠣フライや牡蠣鍋など加熱した牡蠣でもアレルギー症状が出るのです。ここが注意点なのですが、牡蠣のエキスを使ったオイスターソースにも反応することがあるということです。
牡蠣アレルギーは、牡蠣の中に含まれるトロポミオンという成分が原因です。タンパク質の一種で、カニなどの甲殻類にもトロポミオンが含まれています。カニのアレルギーの知り合いもいます、比較的よく聞くアレルギーの一つですね。
腹痛、おう吐、下痢といった症状は食中毒に似ていますが、アレルギーに特有のノドのかゆみや蕁麻疹、発疹が現れることがあります。アレルギーの場合は、アナフィラキシーショックを起こすことがあります。これは危険です。血圧低下、意識障害、呼吸困難といった命の危険もあるので、即刻、救急車を呼ぶ必要があります。
牡蠣を食べないという選択肢
この牡蠣アレルギーを防ぐには、アレルギー検査を受けて「牡蠣は食べない」という選択肢しかありません。
では、僕があたった牡蠣は?
多分、ノロウィルスか腸炎ビブリオ菌だと思われます。十分に洗浄、加熱しなかったのでしょうね。
牡蠣を食べるぞ!
ということで、僕の場合、牡蠣のアレルギーではないと判明。衛生面に注意して、調理することを心がけています。ここ、数年、牡蠣を食べていますが、気持ち悪くなることは全くありません。体調にも気をつけています。体調のすぐれない時には食べないようにしています。僕の場合、「生食用」と書かれているものでも、念の為加熱しています。
安全に食べるために(まとめ)
- お店からの移動も含め、暖かいところには牡蠣を保存しない
- 殻からむいた牡蠣を真水でまず洗う
- 牡蠣の身をよく加熱する
- 調理器具をよく洗浄、消毒する
- たとえ、自分で採取する貝(アサリなど)でもむやみに食べない。自治体からの「貝毒」についての発表には目を通す。
牡蠣の料理レシピはこちら
焼き牡蠣を作った時の写真です!とても美味しく感じました。