今回作った「スティックセニョールのオリーブオイル炒め」/器は作者不明
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スティックセニョール
スティックセニョールとは変わった名前ですよね。みなさんの住んでらっしゃるところでは見かけますか?僕はスティックセニョールが大好きで、お店で見つけたらすぐに買います!
スティックセニョールはサカタのタネが地中海産のブロッコリーと中国野菜の芥藍(かいらん)を掛け合わせて作った品種です。このユニークな名前で「サカタの種」が1991年に登録出願したそうですよ。数年前からスティックセニョールは神戸の青果店でも出回るようになりました。「ブロッコリーのような食感」と書いてあり、早速試しに買って料理したら美味しかったです!
分類・学名
キャベツの仲間であるスティックセニョールのようなかけ合わせたものは数が多く、分類も複雑です。そして学名の変更も多いのが特徴です。現在アメリカで使われている学名では以下のようになっています。(また変わるかもしれません)
Brassica oleracea × alboglabra
メキシコではアスパラガスのような見た目から Asparation という名前だそうです。そして、アメリカではブロッコリーニ Broccolini の名前のもと生産されるようになったということ。アメリカではこのブロッコリーは大変人気でたくさん売れているそうですよ。
この「ブロッコリーニ」は、日本国内で出始めた頃、あまり人気がなかったそうです。その当時、日本でもアメリカと同様「ブロッコリーニ」という商品名でした。そして、アメリカの「ブロッコリーニ」のブレイクを機に、日本ではそれを「ステックセニョール」と改名。再デビューして今に至りました。
ブロッコリーは主軸の頂点に出来る花蕾(からい/はなとつぼみ)を食用とします。しかし、スティックセニョールは脇芽として伸びる茎の部分と、その先の花蕾も食用とします。茎の部分がスティック(英語で棒)、そしてセニョールはスペイン語ポルトガル語で男性への呼びかけの言葉です。英語でいうと「ミスター」にあたるものですね。(スペイン語、ポルトガル語なら「セニョール・スティック」となります、「スティックさん!」って感じですかね)。
寒さに強く暑さに弱い品種だそうですよ。
それではスティックセニョールのオリーブオイル炒めを作っていきましょう。
なんでうまくいかないの!?
ニンニクが焦げてしまって美味しくない。
ニンニクは焦げやすいのです。
その原因はニンニクに果糖が多く含まれているからです。それなので、高温で炒めるとすぐに焦げてしまい、風味が悪く味のよくないものになります。
フライパンにオリーブオイルを入れ、弱火でニンニクにジワジワ熱を加えましょう。そして、スティックセニョールと炒めるときには、温度を上げてさっと炒めると美味しく出来上がりますよ。
スティックセニョールにシャキシャキ感がない
スティックセニョールを水に数時間浸してください
細胞は硬くて弾力のある容器とも言えます。細胞壁に包まれた細胞はほとんどが水分なのです。水分を豊富に含んだ細胞はお互いに圧力をかけ合います。それゆえ、果実や野菜はパリッとした張りが出るのです。水分が十分にない時には、互いに支えあっていた圧力がなくなるので、しなびてしまいます。
しなびた野菜の解決策として、数時間水に浸しておく方法が有効なのです。
スティックセニョールが固い
まず、下茹でしましょう。下茹でにはコツがあります。以下、長いですが、コツとその理由です。ブロッコリーなどにも応用できますよ。
スティックセニョールの色が悪い、味が落ちる
スティックセニョールなどの青い野菜の色素はクロロフィルムが原因です。
このクロロフィルムがポイントなのです!
クロロフィルムには2種類あります。一つはクロロフィルムα、もう一つはクロロフィルムβです。
クロロフィルムαは鮮やかな青緑色。そして、クロロフィルムβはやや落ち着いたオリーブ色です。多くの葉ではクロロフィルムαが多く、クロロフィルムβの3倍はあるのですよ。クロロフィルムは葉緑体という細胞内器官に含まれています。他の光合成系分子とともに多層構造の膜に埋め込まれているのです。
複雑な構造をしているクロロフィルムは加熱によって膜構造が破壊されるとともに、すぐに構造変化が起きます。これが新鮮な野菜の鮮やかな緑色が失われる理由なのです。
植物組織を50°Cより上げると、葉緑体およびその周辺にある膜構造が破壊されます。そのために、クロロフィルムが細胞の中に含まれている「酸」にさらされ色が変わります「酸」が問題を作るのです。
クロロフィルムのきれいな色を保つには、このクロロフィルムを「酸」にさらさないように以下のようにします。
- 調理時間を短くして(茹で時間)、クロロフィルムを細胞内の酸性物質にさらさない
- 調理した野菜をサッと氷水にさらす/長時間野菜を高温にしないためです(高温の状態だと変色が進みます/冷やすことにより細胞壁の接着部分が硬くなりシャキシャキ感が増します)
- レモン果汁を使いたい場合、食べる前にかける(レモンは、pHが2から3の範囲の酸性の果物なのです/「酸」によりクロロフィルムが変色をするので注意!)
下茹でするときのお塩の量がわからない
下茹でするときの塩水の塩分濃度を1パーセントにするのがコツです。今回、2000ml の水に対して20g の塩を入れました。
材料
スティックセニョール:250g
ニンニク:2片
赤唐辛子:少量(好みで)
オリーブオイル:適量
準備
スティックセニョールを3〜4cm くらいの長さに切る/茎の先端は短く切り捨てる
使う前に水につけておく
ニンニクは薄くスライスしておく
赤唐辛子を細かく切る
2000mlの水をお鍋に入れておく
氷があることを確認する
作り方
1)鍋に2000mlのお湯を作る
2)お湯が沸騰したら中に20gの塩を入れる
3)お湯の中に、スティックセニョールを入れる/一度に全てのスティックセニョールをお湯に入れずに、順番として火が通りにくい茎の部分から入れる
4)スティックセニョールの色が濃くなったら、すぐに氷水をはったボウルにスティックセニョールを入れ熱をとる
5)熱が取れたらザルにあげておく
6)フライパンにオリーブオイルを入れてニンニクを弱火で炒める(決して火を強くしないように)
7)ニンニクの香りがしてきたら、スティックセニョールを入れて一気に高温で炒める(調理時間が長いとクロロフィルムが変化して色が悪くなります)
8)最後にオリーブオイルをひと回しかける
9)皿に盛り付けて出来上がり
アドバイス
ニンニクは焦がさないでください。この焦がさないニンニクの美味しさだけでグレードが一気に上がります。1980年代、ニューヨークの「パスタ・ラヴァース」という店で、アスパラガスとニンニクだけのスパゲッティーを食べたことが今でも忘れられません。焦げていないニンニクの香りがとてもよく「どうやったらこうできるのだろう?」と思いました。やっぱりニンニクを焦がさないことがポイントですね!
料理を盛り付けてテーブルの上に置いたら、そこからオリーブオイルを再度かけても美味しいと思います。この場合、オリーブオイルはスパイス的な考えです。
赤唐辛子の量はお好みで増減してください。
この料理の作り方はブロッコリーにも応用できます。
完成です!