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完全食品
卵は、牛乳とともに完全食品といわれている食材です。
鶏卵には、アミノ酸バランスのよい良質のタンパク質と、それが体内で代謝されるときに必要なビタミン(B₆など)が含まれているからです。
卵好きの日本人
日本国民一人当たりの消費量は年間約330個です。生産量は年間で2500~2600トンの間で推移しています。平成28年の農林水産省の「鶏卵生産量の都道府県別割合」によると、県別の生産量は茨城県が第1位(8%)、千葉県が第2位(6.9%)、なんと第3位は僕の出身地の鹿児島県(6.7%)となっています。
「料理は卵に始まり卵に終わる」
料理界では有名な言葉です。小学校の時に「家庭科」の授業で、初めて作った料理が「目玉焼き」でした。友達とワイワイ言いながら作り、そして食べた目玉焼きの美味しさは格別でした。
料理初心者が作れる玉子料理もありますが、寿司職人が作る「玉子焼き」(出汁巻き)、そして、フレンチのシェフが作る「オムレツ」にはよく訓練された技術が必要です。このように料理の入門としても卵は使えるし、熟練した技が必要な料理にも使う卵。「たかが卵、されど卵」なのです。
卵の料理性
卵は、「熱で固まる」、「泡立つ」、「卵を使うことによって油と水を馴染ませることができる」、「ハム、蒲鉾、麺などを作るときに材料の結着剤になる」と幅広い使い方ができます。 用途は広いですね。
他の材料と合わせると力が出る
卵に出汁を入れて作ったり、玉子かけご飯に発酵食品の醤油を加えると美味しいと感じるのは、卵自体に個性的な旨味がないからです。卵にはグルタミン酸やイノシン酸がそれほど多くなく、旨味の成分が比較的少ないです。それが理由で、他の味を加えることで卵に対してもより美味しさを感じます。
料理だけでなく、お菓子にも幅広く卵が使われているのは、卵自体の旨味の個性が少ないからだと考えられているのですよ。
グルタミン酸含有量(mg/100g):10~20
生卵は危ない?
世界的には「生卵を食べる」という習慣は、極めて珍しいものです。
生卵には少量の菌でも食中毒を起こすサルモネラ菌の危険性があるのです。
生卵を食べるのは世界で、日本人とロッキー だけだ、と書かれているサイトもあるくらいですよ。(卵かけご飯は、TKGとネーミングされるくらいですね。)1985年くらいから、ヨーロッパ大陸、スカンジナビア、イギリス、そして北米で、サルモネラ菌が原因の食中毒が見られるようになりました。よく調べると、これらの食中毒の多くは、生卵や軽く加熱しただけの卵が原因でした。
映画「ロッキー 」の主人公、ロッキーが生卵をコップに落として飲む理由は、インタビューでスタローンが答えていたとおり、「人々を驚かすため」というのが理由です。(僕は、タンパク質をたくさん取ろうとしている、と思っていました。)
火を通さないと健康を損なう危険な食べ物、「生卵」を食べて、それだけの危険なものをも乗り越えて勝利に向かっていく決意を表すためでもありました。(海外では絶対に卵かけご飯を食べようと思わないでください。危険です!)日本の生卵の衛生管理は厳しく、食品安全委員会の食品健康影響評価技術研究で実施された研究では、日本全国から集めた市販の10万個の卵の中から、たった3個だけが汚染されていたものでした。さらに、2万個の卵からいっさい汚染が検出されなかったということもあわせ、汚染の確率を0.0029%程度と推定しました。とても低い確率ですね。
しかし、2011年に生卵が原因で宮崎県延岡市の70代女性が死亡しています。そして、同年、11月にも8歳男児が沖縄で死亡しています。食品安全委員会の生卵の安全性への答えは二つです。「Yes」と「No」なのです。
食品安全委員会のすすめは
「購入する時にしっかり温度管理している店から買い 、購入後は冷蔵庫に保管し 、賞味期限を過ぎた卵は十分加熱調理をしてから食べれば 、SE食中毒になることはまずないと言えるでしょう。」と食品安全委員会の広報に書かれています。いづれにしても手放しで安全というものではなく、注意が必要ですね。
サルモネラ菌を予防するには以下の方法か
世界的にひどく感染した卵は少なくなりましたが、子供や高齢者、免疫の衰弱している人は注意が必要です。やはり卵はよく調理することが必要でしょうね。通常、60°C以上で5分、あるいは70°C以上で1分の加熱を行えば十分に殺菌できますよ。卵黄は60°Cでは固まらないのですが、70°Cでは固まります。日本養鶏協会のサイトも参考にしてくださいね。
卵の値段
全農鶏卵卸売価格(M規格)でみると、卵の値段は、戦後の1953年(昭和28年)に1kgあたり224円でした。2005年(平成17年)には204円/㎏、2010年(平成22年)には 187円/㎏でした。直近の2018年の年平均は180円/kgと最近は年々下落傾向にあります。
まるで、昔から卵の値段はほとんど全然変わらないと見えますが、、、、「現在の価値」に換算すれば1953年の卵の価格は1000円を軽く超えます!それを考えると、価格はどんどん下がってますね。
卵と玉子
生物学的に表記するときには「卵」。食材的意味があるときには「玉子」と表記しました。