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「ゆで卵」を真剣に作ってますか? 簡単だが奥が深い「ゆで卵」

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卵を茹でる

「卵を茹でる」ことができたらシンプルな最低限の料理が出来ますね。いわゆる「ゆで卵」です。

「卵を殻ごと茹でる」ということは、ごく当たり前のことのようですが、実は単純にそれだけでは「優れた料理法」とは言えないのです。何も工夫しなければ、美味しくできませんよね。つまり、「湧き立つ湯の中で卵が動き回って殻が割れてしまう」、そして、「割れた卵から白身もはみ出してしまう」ということになりかねないのです。つまり加熱し過ぎの状態で問題を作りやすいのですね。

これから様々な「ゆで卵」について書いていきます。

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調理時間と硬さの関係

「ゆで卵」の仕上がりの固さによって、卵を殻ごと料理する際の調理時間は変わります。殻ごと調理する場合、調理時間が異なれば卵の固さも少しずつ変化しますね。

「ウフ・ア・ラ・コック」(Oeuf à la coque)

ルイ14世「太陽王」が愛した卵料理。

「ウフ・ア・ラ・コック」は、ほんの2、3分加熱して全体がまだ半液体状のものです。茹でたらすぐに冷水に入れて粗熱を取ります。半熟卵の上の方の殻を割り(スプーンの背を使います)、塩胡椒をかけ、そして、トーストしたバゲット(ムイエット)ですくって食べることが多いです。oeuf はフランス語で卵。à la coque はフランス語でブリオッシュ系の細長いパンのことです。

「コドルド・エッグ」

 

これは3分から5分加熱したものです。コドル(coddle)とは、卵をとろ火で茹でるという意味です。卵白の外側は固まりかけています。そして内側は乳状、卵黄もそうとう柔らかいです。コドラーと呼ぶ専用の蓋付き器に卵を割り入れその器ごと湯の中に入れとろ火で調理します。イギリスでビクトリア時代に流行ったものです。

温泉卵

我が国を代表する「ゆで卵」ですね。「温泉卵」と「半熟卵」の違いわかりますか。「温泉卵」は、卵黄よりも卵白が柔らかい状態。つまり、卵白がゲル状のものですね。それに対して「半熟卵」は、卵黄を柔らかく保ったまま卵白を固めたものです。ポイントは白身の固さですね。これは、これは卵黄の凝固温度(約70℃)が卵白の凝固温度(約80℃)より低い性質を利用して作られます。つまり、「温泉卵」は卵黄を固めて卵白を固めないというものです。

とりわけ温泉で作らないと作れないというわけではなく、温度調整がポイントでできるものです。たまたま温泉地のぬるいお湯につけていたらできたのでしょうね。だから、「温泉卵」って言われるのでしょう。

ご自宅でも作れます。作り方はいくつか知られていますが、どれもポイントは、お湯の温度設定を卵白の凝固温度より低くし、卵白をトロッとさせることですね。

  • 65 – 68℃程度の湯に30分程度
  • 68 – 70℃程度の湯に20分以上
  • 70℃ の湯に20-30分程度

ちなみに、大手牛丼チェーン店などで使われている白身がトロッとした卵も温泉卵状のものですね。あれは「キューピットのたまご」と呼ばれています。これはキューピーが業務用に、サルモネラを死滅させる特殊な製法のたまごとして開発・販売されていたものです。夏場でも安全に持ち帰りできますね。日本は一人当たりの年間鶏卵消費量約337個で、メキシコに次いで世界で2番目に多いです。さすが、卵を知り尽くしている日本の会社の製品ですね。

固ゆで卵

10分から15分加熱すると「固ゆで卵」になります。全体は固まりますね。10分後には卵黄はまだ濃い黄色で水分が多くややペースト状です。15分後には卵黄が淡い黄色になりパサついてポロポロしていきます。

茶叶蛋(チャーイエダン)

色と風味を強めるために何時間も卵を加熱することがあります。例えば、中国の茶叶蛋(チャーイエダン)です。卵を固まる程度に煮た後にそっと殻を叩いてヒビを入れます。そして、茶、塩、砂糖、香辛料などを混ぜた中でさらに1〜2時間煮込みます。

そうすると卵に独特の風味がつき、固い卵白にマーブル模様が付きます。

不思議な「ゆで卵」ですね。Wikipediaより

加熱し過ぎの卵

固ゆで卵が上手に出来た!と思うときには、固まっているけど卵はほどよく柔らかいですよね。固さも風味もよく卵を茹でるには、加熱し過ぎに注意しなければいけません。

よくゆで卵が硫黄臭く感じる時があります。僕は口に入れた途端に、脳裏に大分県の「別府地獄めぐり」に行った時の思い出が蘇ります(硫黄泉ですね)。卵の白身には硫黄を含むアミノ酸があります。加熱によりそのアミノ酸が分解して、「硫化水素」が多く発生するからです。卵が硫黄臭くなる原因はこれです。(目玉焼き、玉子焼きなどは殻に包まれてなく、硫化水素が外部に発散しまうので硫黄臭くないです)

この「硫化水素」の発生を抑えるには、加熱温度を沸騰点からかなり低めに設定して、調理後すぐに氷水につけるといいです。つまり「穏やかに」調理することですね。

殻を割らずにむきやすく茹でる

殻が割れるのを防ぐ最もいい方法は、新鮮な卵を穏やかに加熱することです。間違っても激しく沸騰させないように。

一方で殻をむきやすくする方法は、なんと、「古い」卵を使うことです。または、針で卵に穴を開けるという方法も知られていますね。(意外にもアメリカの料理科学本には「効果がほとんどない」と記載されているものもあります。僕は効果あると思うのですが、、、)

殻がむきにくいのは新鮮な卵の特徴です。卵白のpH(水素イオン指数)が比較的低いために、卵白が殻の内膜と強く結合してしまうためです。

数日間冷蔵したものはpHが9.2程度になっていて、殻をむきやすいです。

卵白pHは卵白の熱凝固性に影響を及ぼします。ゆで卵にした場合、卵白pHが低い場合は表面に艶がなく弾力のない脆いゲルとなり、卵白pHが高い場合は表面が滑らかで弾力に富んだゲルとなります。つまり、鮮度の良い卵では卵白がもろくて殻も剥がれにくく、古くなるに従って剥きやすくなります。

日清丸紅飼料株式会社公式HPより

かなり新鮮な卵があってすぐに調理しなければいけないときにはどうするか、、、。その場合、1リットルの水に対して小さじ半分の重曹を加えてアルカリ性にするといいです。でも、この場合、硫黄臭が強まりますので、注意。

他の方法としては、調理時間をやや長めにして卵白を固めて、冷蔵庫で冷やせば殻がむきやすくなりますよ。

緑色の卵黄

固ゆで卵の卵黄の表面が緑っぽく変色することがありますよね。これは、以下の説明に書いてあるのでご覧ください。

たんぱく質を構成するシスチンやメチオニンといったアミノ酸には硫黄が含まれており,卵白には,卵黄よりもこれらのアミノ酸が多く含まれています。逆に鉄分は卵白よりも卵黄に多く含まれています。卵白のアミノ酸は熱によって分解されやすく,遊離した硫黄は,硫化水素(H2S)となります。硫化水素は,卵黄中の鉄分と化合して硫化鉄(FeS;黒色)となるため,卵黄は,暗緑色に変色します。この変色を硫化黒変(または緑変)といいますが,体に害があるものではないので,食べても問題ありません。

卵の加熱温度が高いほど,加熱時間が長くなるほど硫化水素が発生しやすく硫化黒変は顕著になります。これを防ぐには,加熱し過ぎないように温度・時間管理を行うことが有効です。ゆで卵であれば沸騰したお湯で10分程度,80℃のお湯であれば25分程度ゆでれば卵黄が鮮やかな黄色になります。

広島県食品工業技術センター公式HPより

興味深い長時間加熱の卵

中東には「ハミダドス」(ヘブライ語)、または「ベイド・ハミン」(アラビア語)というものがあります。

元々は、古代エジプトでヘブライ人(古代ユダヤ人)達が作っていたものです。6時間~一晩かけてゆっくり卵をゆでると、クリーミーな味わいのおいしいゆで卵に仕上がるのだそうです。金曜日に仕込んで、オーブンでゆっくり調理します。そして、安息日に昼食として出されたようです(安息日は料理してはいけないから)。シチューの中に卵を殻ごと入れるか、水で長時間煮込む場合もあります。

モロッコ、チュニジア、トルコ、ギリシャの地中海周辺のさまざまなユダヤ人コミュニティの料理だけでなく、エジプトでも食べられているそうです。

風味は濃厚で、卵白は褐色になります。アルカリ性で長く加熱する影響で、卵白に含まれる1/4gのブドウ糖と卵白タンパク質が反応して、メイラード反応が出るのです。つまり、こんがり焼いたような風味と色が出ます。メイラード反応についてはリンク先の別の投稿もご覧ください。

加熱温度を71〜74度の狭い範囲に保てば、卵白は非常に柔らかく卵黄はクリーミーになるそうですよ。食べてみたいですね。

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以上、「ゆで卵」の話題でした。他の投稿で、「保存卵」、「卵が固まるのはなぜか」、「卵が完全食と言われるワケ」、など書いています。よろしければご覧ください。

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