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卵が固まるのはなぜ?|化学のお話

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卵が固まるのはなぜか

生卵を割ると、どろっとした液体。それに熱を加えると卵が固まって包丁で切れるくらいの硬さになる。この凝固性は、普段見慣れたものですが、よく考えると驚くべき変化です。

しっかり固まるのはなぜかというと、タンパク質の互いに結合しあう性質が原因なのです。

水分子がタンパク質分子の1000倍

 

タンパク質分子は水分子に比べて巨大です。タンパク質分子は数千もの原子が鎖状に結合したものです。この鎖は折りたたまれています。その折りたたまれた鎖が結合して形を作っているのです。卵黄と卵白の中では状況が違います。卵白の中では多くのタンパク質分子が負の電荷を蓄えています。それが互いに反発しあっています。そして、卵黄の中では、反発し合うタンパク質もあり、脂肪とタンパク質の塊として存在するものもあります。共通するのは、多くのタンパク質分子は、互いに反発しているものです。

熱を加えると、、、

卵に熱を加えると、すべての分子運動が速まります。互いに反発しあう力も強まります。ついには、タンパク質の長い鎖をコンパクトな形に折りたたんでいた結合が崩れ始めるのです。タンパク質の鎖がほどかれ、伸びた鎖が絡み合います。ついにはそれらが結合しあって3次元ネットワークを作るのです。水分はそれでもタンパク質より多いのですが、無数のタンパク質の隙間に押し込まれてしまい、流れ出ることはできなくなります。

こうやって、生の液状の卵は、水分の多い固体になります。

卵白はなぜ透明から白くなるか

生卵に熱を加えると、大きなタンパク質分子が塊になります。それは光を散乱することになるのです。こうやって透明な卵白が白くなります。

方法としては同じ

酸や塩につけること。泡立てることで固めること。それらは基本的に同じです。反発するタンパク質を互いに結合させる動きがあるのです。酸、熱、の加えるタイミング、など組み合わせで、様々な固さになります。

熱の加えすぎは禁物!

タンパク質の結合が強すぎてしまい、タンパク質ネットワークから「水分がこぼれ出てしまう」からです。「目玉焼き」、「ゆで卵」に熱を加えすぎると水分が飛んで「ゴム」みたいになってしまいます。卵料理は加熱しすぎると「凝固しすぎ」になるのです!そうなるとゆっくり熱を加えているとパサパサになってしまいます。これが、「卵料理」の失敗の原因です。ほとんどの卵料理の目標は、液体状の卵(他の液体との混合も含む、出し汁とか)を水分の多い柔らかい固体にすることなのです!

「出汁巻き」、「卵焼き」は、卵に水分を加えることです。通常、卵だけだと、70°Cで凝固するのですが、水分を加えたことにより凝固する温度が上がってきます。それが、「出汁巻き」を作るときに火の温度を強くする理由です。そして、時間を短く仕上げる理由は、水分がタンパク質ネットワークから出ていくことを避けるという理由です。

尾崎晋也著

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