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ベートーヴェンのモーニングコーヒー
以前、ベートーヴェンの飲んでいたコーヒーについて書きました。毎朝、几帳面にコーヒー豆を数えてコーヒーを淹れていたらしいですよ。その話題に関する記事は、リンク先をご覧ください。
\私たちも使ってます・オススメです/
ベートーヴェンの飲んでいたコーヒーの通説・コーヒー豆60粒
ベートーヴェンの淹れたコーヒーについて、記録したものがあります。それは、ベートーヴェンの無給の秘書・シンドラーの話として伝わっているのです。
このシンドラーはある意味興味深い人物です。彼については以前書いた記事をご覧ください。
ベートーヴェンのコーヒーを深く調べた人々は、みんな悩んでいる16粒の謎
ベートーヴェンは毎朝60粒コーヒー豆を数えてコーヒーを淹れた、というのが、定説なのですが、一つの情報に「16粒」というものがあるのです。このために、ベートーヴェンの入れたコーヒー豆の数を調べている多くの人が「16粒?」と改めて驚き、悩んでいます。実際に「16粒」を数えてコーヒーを実際に淹れたブログ記事もありました(探究心がすごいですね)。
この「16粒」という情報は、「ベートーヴェン訪問」という本に書かれています。ベートーヴェンの肖像画を描いた画家のシーモンがベートーヴェンにコーヒーをご馳走になった話を、シンドラーが聞いた、という内容で書かれているのですよ。その時に「16粒」のコーヒー豆を使ったと記載されているのです。
僕の推測したベートーヴェンのコーヒー豆16粒のこと
僕の推論は、シンドラーがベートーヴェンがコーヒーを淹れる時のコーヒー豆の数に関して、「16」粒と「60」粒を聴き間違えたのか、または、記憶違いだったのか、というものでした。なぜなら、以下のように二つの数字の発音が似ているからです。
- 16 sechzehn ゼヒツェーン
- 60 sechzig ゼヒツィヒ
これは、発音が似ていますよね!この話はリンク先にもあります。
しかし、ちょっとまてよ!
シーモンもシンドラーもドイツ語のネイティブスピーカーです。僕のように外国語として聞くのと、彼らの判断は違うはず。
もしかしたら、訳した日本語の本が間違っているのではないか、と考え始めました。
英語の情報にベートーヴェンのコーヒー豆16粒はない
英語のサイトで、ベートーヴェンのコーヒーについて調べました。ベートーヴェンがコーヒーを淹れるにの、コーヒー豆16粒使ったという記載がないのです。
世界中の情報で、大事なものは全てといっていいほど英語の文献の中にあります。
英語の情報でこの「コーヒー豆16粒」がないということに、とても大きな疑問を持ちました。
そして、これは、やっぱりドイツ語原本から翻訳するときに間違ったのでは、、、と思い始めましたが、考えれば考えるほど謎は深まります。
\なるほど!そう繋がっていたのか!一読オススメします/
誤訳判明! こんなこともあるんだ!
どうしても自分で確認したいので、上記「「ベートーヴェン訪問」著者ヒュルリマン」 」という本の原書を手に入れました。
1948年、昭和23年、戦後間もない頃にスイスで出版された本なのですよ。僕の手にしたものは、初版本のようでかなり紙が焼けていました。
なんと、そこにはベートーヴェンの淹れたコーヒーは「60粒」のコーヒー豆によると書いてあるじゃないですか!
つまり、60 sechzig (ゼヒツィヒ)です。
Besuch bei Beethoven / Martin Hurlimann 1948 より 83ページ(写真転載使用禁止)
83ページ にしっかりコーヒー豆、60粒と書かれていますね。日本語版の訳者は、酒田健一さんという早稲田大学文学部教授の方です。
誤訳でした!
こんなこともあるんですね!自分でも驚きました。
以下、参考にしたドイツ語の本の中表紙と目次(画家のシーモンの証言「コーヒー豆16粒の話」は83ページ目に書いてあります)
日本語版「ベートーヴェン訪問」
「ベートーヴェン訪問」 M.ヒュルリマン編 酒田健一訳 白水社 116ページより
(写真転載使用禁止/このブログは白水社さんの許可を得て添付しています)
1970年に出版された本です。ベートーヴェンを訪ねたことがある人(弟子や音楽家、画家など)の証言や記録をまとめてあり、大変興味深い本です。
ベートーヴェンに興味がある方、一読されることをお勧めします。この本は、大変残念なことに現在絶版になっていますが、とても貴重な本だと思います。実際にベートーヴェンと会ったさまざまな人の意見から、ベートーヴェンの人間像をあぶりだしているのですよ。
この日本語の訳本の中では、ベートーヴェンが淹れたコーヒーに使ったコーヒー豆の数は「16粒」と書かれていますね。この「16粒」は、誤訳だったのですね。
以上、ベートーヴェンの淹れたコーヒー豆の数、「16粒」の謎が解明できた話でした。