秋になると、私たちはよくカリン酒を作ります。美味しい果実酒ですね。
ブランデーにつけたカリン酒。美味しいですよ。
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酒税法に関わること
酒税はお酒を造る人や企業が納める税金です。お酒の規制に関しては酒税法が極めて直接的な影響力をもっているのです。酒税法では、お酒の造り方やお酒の分類について事細かく規制しているのですよ。
個人が自分で楽しむ果実酒についても例外ではありません。酒税法の規制が関わってくるのです。つまり趣味で果実酒を作っても、ともすると「酒税法違反」になってしまうことがあるのです。
「みなし規定」というものがある(果実酒に関ってくる規則)
原則として、酒類に水以外のものを混ぜて出来たものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなされる、ということがあります。これが「みなし規定」です。(酒税法第43条1項)
果実酒作ると、お酒作っちゃった!ことに、、、
これを果実酒で考えると、酒類であるホワイトリカーなどに果実と氷砂糖を漬けて出来上がるのが果実酒です。これでは、「酒類を製造したもの」とみなされてしまいます。
製造免許を取得していたらいいのですが、一般の多くの人は酒類の製造免許なんか持っていませんよね。(僕も持ってません!)
果実酒作って、このままだと犯罪! でも例外規定が、、、
この原則どおりに考えると、日本中の果実酒作って飲んでいる人たちが続々と酒税法違反になって捕まってしまいます。
そこで、「例外規定」が設けられているのです。
すなわち、以下の要件をすべてみたす場合には、例外的に新たな酒類を製造したものとはみなされないことにしています(酒税法43条11項、酒税法施行令50条14項、酒税法施行規則13条3項)。
- 消費者が自ら消費するためであること
- 混ぜる前のベースとなる酒類はアルコール度数20度以上であること
- 酒類と混ぜる物品は、次に掲げるもの以外のものであること
- 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりやん、きび、ひえ若(も)しくはでん粉又はこれらのこうじ
- ぶどう(やまぶどうを含む)
- 混ぜた後で新たにアルコール分が1度以上の発酵がないものであること
私たちのカリン酒の場合
私たちは昨年、以下のようにカリン酒を作っています。(ブランデーで作った場合)
- 自分と妻だけが飲むためにカリン酒を作った
- 混ぜる前のベースとなる酒類はアルコール度37パーセントのブランデー
- 酒類と混ぜる果実はカリン
- 混ぜた後では発酵しない
これは、問題クリア!ですね。
\私たちが使ったブランデー・廉価なものでも十分です/
サングリア作って酒税法違反!
サングリアは、ワインにフルーツ、スパイスなどを漬け込んだワインカクテルですね。スペイン発祥のお酒です。
数種類のフルーツやスパイス、甘味を加えて造られ、フレーヴァード・ワインとして人気がありますよね。飲みやすく、インスタ映えもしますね! 人気上昇中の飲み物です。
そのため、自家製サングリアを作ろうと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
ちょっと待った!これは違反だ
サングリアのベースとなるワインは、アルコール度数が10度から15度程度のものです。
アルコール度数が20度を超えるワインはあまりありません。自分で作るお酒として許可される条件としては、アルコール度数が20度以上のお酒を使うことが条件となります。
バーのカクテルなどのようにお酒を飲む「直前」に酒類を混ぜる場合には、醸造にあたらないというルールはあります。
しかし、一般的にサングリアはワインにフルーツなどを「漬け込む」飲み物ですので、醸造したことになってしまいます。ワインを使った「漬け置き」は酒税法違反になりますよ!
それゆえに、サングリアのレシピでも、「漬け置き」レシピは法律違反ですので、要注意!
レシピサイトなどで、調べてください。ちゃんとしたサイトは、「サングリアを飲む直前にワインとフルーツ等混ぜる」ということを書いていますよ。
一般に、こんな場合は法律違反
例えばこんな場合は法律違反です。
- 作った果実酒を他の人に売った
- 17度の日本酒にカリンを漬けた
- お酒があまったから、ぶどうも漬けてみた
これらは、完全にアウトです。特に売る場合の法律は厳しいのです。
消費者が自ら消費?
ちょっとわかりづらいのが「消費者が自ら消費」という文面です。
じゃあ、昨年作ったカリンのブランデー漬けは、僕しか飲めないのか?となります。
国税庁のお達し(自家製果実酒に関して)
しかし、国税庁はこのようにお達ししているのです。
「『自ら消費するため』には同居の親族が消費するためのものを含むものとし、他人の委託を受けて混和するものは含まないものとする」
そうか、じゃあ、僕がこのカリン酒を故郷の鹿児島に持って帰り弟と飲んだり、「色々な果実酒を作ったから果実酒パーティやろう!」と、知人を集めて飲むのは、ダメなのです!
自家製果実酒と法律、まとめると以下のようになります
作った果実酒飲むのに、、、
同居の親族はOK
別居親族はダメ
盆や正月の親戚の集まりに自分で作った果実酒を出すのはダメ(作った果実酒を自慢したい方もグッとこらえてください!)
知人友人に振る舞うのはダメ
平成19年衆議院の国会答弁(自家製果実酒について)
逢坂誠二議員Qの質問に対して安倍晋三内閣総理大臣Aが答弁しています
Q 酒税法第四十三条第十一項に規定する「消費者が自ら消費する」とは、同居の親族が消費することを含むとの解釈があるようだが、これは妥当だと考えるか。また、これ以外の解釈はあるのか。
A 妥当であると考えている。
Q 家庭内で年間に数リットル程度を作る果実酒は国民に広く浸透していると思われる上、消費者が自ら消費する以外にも、親類、知り合い同士で、善意の贈答行為が日常的に行われていると推測されるが、酒税法第四十三条第十一項に規定する範囲だけが、みなし醸造の適用除外というのは国民生活の現実とは乖離した規定であると思うが、如何か。
仮に、「国民生活の現実と乖離していない」との見解であるなら、家庭でいわゆる「果実酒」を作り、知人などと贈答しあう場合も、醸造免許が必要だと解すべきか。
仮に、醸造免許が必要だとした場合に、最低製造数量基準が六キロリットルであり、これは四合瓶換算で八千本をこえる量である。これでは事実上、家庭内で醸造免許を取得していわゆる「果実酒」を作ることは不可能と思われるが如何か。
仮に、不可能だとすれば、この酒税法の規定は、国民に広く浸透していると思われるいわゆる「果実酒」を作って、知人同士で楽しむことを禁止するものと解されるが、この最低製造数量基準は、あまりに国民生活の現実と乖離していると思われるが如何か。
A 酒税法(昭和二十八年法律第六号)においては、酒類に他の物品を混和することにより、適用される税率が異なる酒類に該当することとなる場合も想定されるため、税負担の公平性や酒税収入の確保の観点から、酒類に他の物品を混和する行為も原則として酒類の製造とみなし、酒類の製造免許を受けなければならないこととしている。
しかしながら、同法第四十三条第十一項において、「政令で定めるところにより、酒類の消費者が自ら消費するため酒類と他の物品(酒類を除く。)との混和をする場合」には、酒類の製造とはみなさないこととしており、この場合には、酒類の製造免許を受ける必要はない。
また、同条第十二項において、同条第十一項の適用を受けた酒類は、販売してはならないこととしているが、当該酒類を無償で知人等に提供することは、同条第十二項に規定する販売には当たらず、同項の規定に違反するものではないと考えている。
なんだか曖昧な解釈?
まとめるとこういうことになります。
- 無償で知人等に提供することが12項の販売にはあたらないという答弁
- 無償で知人等に提供することは、販売にあたらないだけであって、個人で消費する範疇には入っていないような答弁
法律というのものは最高に論理的に捉えられるべきだと僕は思いますが、なんだかわかりづらいですね。
自家製果実酒と法律・まとめると
- 上記に書いたような一定の条件をクリアして果実酒を作れば法律に抵触しない。
- しかし!「個人で消費」のみ。これは、同居の家族も含まれると拡大解釈されているようだ。
同居の家族とだけ飲みましょう!
法律は時に変わります。詳しく知りたい方は、時々チェックしてみてください。
酒税法に違反した場合の最悪のケース
Q11 免許を受けないで酒類の製造(販売業)を行った場合には罰則があるのですか。
A 酒類の製造免許を受けないで酒類を製造した者は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に、また、酒類の販売業免許を受けないで酒類の販売業をした者は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。
根拠法令等:
酒税法第54条、第56条
お互いに気をつけましょう!