2021年夏、鹿児島に行きました。そこで、枕崎お魚センターに行き、「カツオ節削り体験」をしました。カツオ、そして、カツオ節のことを勉強しましたよ。すごく興味深い体験です。
Contents
「カツオ節削り体験」をホームページで知った
枕崎は釣りによく行くなじみのところで、「お魚センター」も時々行きます。しかし、この「カツオ節削り体験」は知りませんでした。
今回訪れた枕崎お魚センターのカツオ節
削りたての「カツオ節」を、地元に昔から伝わる「茶節」にして味わっていただきます。
「茶節」とは、削った「カツオ節」にお味噌とお茶を入れたシンプルな飲み物です。
カツオ節の風味と味わいを楽しむには最もお薦めできる料理方法です。
● 設定人員:1名様から最大50名様まで。
● 受付締切日:前日までにご予約してください。当日のご予約はできません。
● ご予算:1名様500円(削りたてのカツオ節おみやげ付)
さっそく、「お魚センター」に電話して、翌日の体験の予約をしました。
「茶節」、、、鹿児島生まれの僕も知りませんでした。どんな味だろう。「昔から伝わる」という文言にも惹かれます。
茶節(ちゃぶし)とは、鹿児島県枕崎市一帯を中心とした薩摩半島南部の郷土料理である。
作り方は鰹節と味噌、それに好みでネギ、ショウガ、卵などをお椀の中に混ぜいれ、熱い緑茶または熱湯を注ぐだけというシンプルな料理である(鰹節は削りたてのものを使うと風味が良い)。鰹節は出汁であると共に具でもあるため汁を飲みながら中の削り節を食べることも多い。
枕崎港に到着
よく来る港です。早めに到着したので、港の外観を撮りました。「お魚センター」は写真で言うと建物の列の左側にあります。
枕崎の歴史
奈良時代、隣接する坊津は日本三津(港)の“南”の玄関口として大いに栄えたため、ここ枕崎沖にも多くの貿易船が航行したそうです。
南北朝時代に日野邦光中納言が、織豊時代には元左大臣近衛信輔が流謫されてきました。
江戸時代には金の採掘やカツオ漁業でも大いに栄え、幕末には西郷隆盛が流罪の地・奄美大島から戻る途中、ここ枕崎に宿泊したという記録が残っています。
さらに大正~昭和にかけて、近代カツオ漁の祖・原耕(はらこう)氏が南方漁場開拓に奔走し、カツオ漁技術の向上とかつお節生産量日本一となる今日の礎を築きました。
昭和6年、南薩鉄道(現・JR指宿枕崎線)が開通し、北は稚内駅を最北端に、ここ枕崎駅が日本本土最南端の始発・終着駅となりました。
鹿児島県本土の緑色の部分です(鹿児島県には離島が多い/ここには書かれていません)。
カツオ節の歴史
鹿児島では、カツオ節というと「枕崎」、とすぐに浮かぶ人が多いです。それだけ、枕崎のカツオ節は鹿児島の人たちに浸透しています。
日本人は昔からカツオの味を珍重していました。しかし、カツオは鮮度保持が難しいためにカツオを干物にして食用していました。これを「堅魚」(カツオ)と呼んだのがカツオ節の起源とされています。古事記においても「堅魚」の記述が見られます。
鹿児島でカツオ漁が盛んになったのは、江戸時代に幕府が貿易港を長崎に限ったために、坊津が貿易から撤退したのがきっかけだと言われています。坊津は遣唐使船の寄港地として有名ですね。商港から漁港に転じた坊津でカツオ漁は始められましたが、多くの大船主たちは枕崎に移りました。そして、枕崎でのカツオ漁が盛んになっていくのです。
その頃は鹿児島のカツオ節の製法が未熟でした。それゆえに、鹿児島のカツオ節は名前を知られるにいたらなかったのです。その後、土佐と紀州の秘伝であった「燻乾(くんかん)法」や「カビ付け」といったカツオ節の製法を、紀州の「森弥兵衛」が枕崎に来て伝えたとされています。それは、江戸時代中期の1707(宝永4)年頃です。その製法で作ったものが「薩摩のカツオ節」として有名になっていくのですね。
鹿児島には枕崎と山川という2カ所のカツオ節生産地があります。最近では全国生産の70%が鹿児島産です。そして「カビ付け」した「本枯節」はなんと98%が鹿児島産なのですよ。
カツオ節を作る工程
それではカツオ節を作る工程を写真で見てみましょう。
作業の特徴は、煮る「煮熟」の工程の後、「燻乾(くんかん)」という薪を燃やす乾燥室の中で燻して乾燥させる工程を20日程度行うことです。
煙で蒸すのは、乾燥、防腐効果と魚の油分の酸化防止のためがあります。
「燻乾」の工程で水分が26%になると腐敗の心配はなくなります。そして、その段階から「日乾」と「カビ付け」によって15%ほどの水分に乾燥し、枯れ節に仕上げるのです。
「カビ付け」は「燻乾」だけで除去できない水分を均等に抜き、脂肪やフェノール類を分解します。それが、風味、香味が増える理由です。
生切り前の処理:冷凍されているカツオは解凍後に水洗いされ、生魚の場合は水洗いをしておきます。
生切りは、頭切り、身おろし、身割り、の3工程からなっています。
籠(かご)立て:身おろしした肉を、煮熟するために籠にいれる作業のことです。籠立てで節の形が決まるので、肉がねじれたりしないように最新の注意をします。
煮熟(しゃじゅく):籠立ての終わった肉を水煮する作業。枕崎での煮がまの一般的な大きさは75cm から85cm を一辺とする正方形の釜で、深さは120cm 程度です。
煮熟の温度は鮮度により90°C程度で、煮熟の時間も小型で90分前後、中型で100分前後、大型で120分前後と身割れや形の変形を抑える為細かく管理しています。
籠離し:煮熟が終わったら籠を取り出し、肉を引き締めるために冷やします。その後、骨抜きで一本一本ていねいに骨を抜いていきます。この状態を「なまり節」といいます。
修繕:これまでの作業でできた傷をカビ付け時のカビの侵入を防いだりするために、すり身で形を整えます。
そして、節を引き締めるためと表面を殺菌するために100〜120°C蒸気で20〜60分煮ます。
焙乾:節の水分を取り除くために乾燥室で薪を使い焙乾の作業をする。
焙乾の終わったものをムシロの上で乾かします。乾燥した節は「荒節」または「鬼節」と呼びます。
削り整形:日乾の終わった節を3〜4日放置しておきます。これは荒節の中に残った水分を平均して乾燥させるためです。その後、数種類の削り包丁を使い表面の脂肪や取り残してきた皮などを取り除きます。この段階の節を「裸節」といいます。
カビ付け:裸節を2〜3日の間日乾し、その後カツオ節の香りの決め手となるカビ付けをします。カビ付け用の木箱に入れた裸節を、カビ付け庫に入れます。庫内の温度は27から30°C、湿度は80%から90%に管理されています。1週間から10日もすると節の表面にカビが付いてきます。それから数日すると表面全体にカビが付いてきますので庫内から出し、再度日乾しブラシでカビを落とします。
これを「一番カビ」といいます。
次に「二番カビ」を付けるために同じ工程を繰り返してようやく出来上がりです。
この節のことを「本枯節」といいます。
本枯節完成!ですね。
それでは体験開始!
カツオ節削り体験指導、そしてカツオ節の説明をしてくださるのは、「石原さん」です。
それでは、よろしくお願いします!
今回削るカツオ節。カツオ節には、本枯節(カビ付)、荒本節(パック原料)、新さつま節(柔かい節)、焼生利節(非常に柔かい節)などがあります。
今回は、「荒本節」を使って削って行きます。
まずは、削る道具の説明
昔、僕のうちにもありました、カツオ節削り器。今回はこれでは削りません。ケガなど、扱いに間違いあってはいけないですからね。(僕は小さい頃、使っていたので慣れていますが)
今回はこれ。クルクル回して削ります。
それでは削っていきましょう!
クルクル、クルクル、結構力が入ります。
途中、カツオ節の位置を調整します。石原さんに見てもらい、うまく削れるようにカツオ節の位置を変えました。これ、見ると簡単そうですが、力もいるし、コツが必要なのですよ。この機械は便利だな、と思いました。
なぜかカメラ目線
実は腕が疲れて一休み
削りたてのカツオ節で作った「茶節」
削りたてのカツオ節で、地元に昔から伝わる、美味しいカツオ節の味わい方のひとつである「茶節」をいただきました!
けずり節にお味噌を入れ、熱々の地元枕崎茶を注いでできあがりです。シンプルな調理方法ですが、カツオ節の香りや味を味わっていただくには一番お薦めだそうです。
指導してくださった石原さん、ありがとうございました!
枕崎のカツオ節
枕崎のカツオ節は昔から有名です。今回、小さい頃、よく家庭でカツオ節を削ってお手伝いしていたのを思い出しました。枕崎のカツオ節はとても香りがよく、変わった使い方では、最近みかんの皮の佃煮を作る時に枕崎のカツオ節を少量入れました。とても美味しく感じましたよ!