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化学兵器を食べる?|ハーブやスパイスは彼らにとっては化学兵器

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人間の祖先は雑食

人間の祖先は雑食性でした。アフリカのサバンナで見つかる人類の残したものは、動物の死骸に残った肉片、木の実、果実、葉っぱ、塊茎(かいけい:ジャガイモなど、多年生の草本で,地上部が毎年枯れるものの地下茎が肥大し,養分をたくわえて塊状になったもの)など、食べられるものはなんでも食べていたと考えられます。

「見た目」と「匂い」で判断

人類のその雑食性ゆえに、初めてのもので食べられるものを判断する方法は、「見た目」と「匂い」でした。その成分を以下のように感じていたのです。

  • 甘さ:栄養のある糖分
  • 苦さ:毒のあるアルカロイド(植物由来の窒素を含む有機塩基類で、強い生物活性を有する化合物群)
  • 嫌な匂い:危険な腐敗

どうでしょう、今でも皆さんは食品の危険さを判断する時に時々匂いなど嗅いでいますよね。

このように、「見た目」と「匂い」で、前に出会ったものを見分け、そして、その作用を思い出したと考えられます。その種類は、何百もの異なるものと考えられているようなんですよ。

農業発達以降

農業は1万年前に発達しました。そうなると今ままで「見た目」や「匂い」で判断していた危険性の見分け方も必要なくなります。つまり、作物は自分たちで作るものなので、食べ物はより予測しやすい単調なものに変わっていったのです。農業の主な産物は、以下に書くような「主食」とされているものですね。

  • 小麦
  • 大麦
  • トウモロコシ

これらはエネルギーが濃縮された、比較的蛋白なものです。

しかし、太古の記憶は残っている

農業が発達し、食生活は急激に単調化した。しかし、人間には太古からの感覚、つまり見た目と嗅覚により食物の危険性などを判断していた経験が脳に残されています。それらの感覚が、再び、味覚や嗅覚に対する多彩な経験を味わう方法を発見するのです。それがハーブやスパイスの利用です。

ハーブやスパイスは動物や微生物の攻撃から守る化学兵器

オレガノの葉っぱやクローブなどを直接、口に入れて噛んでください(たくさん摂取しないでください、危険です)。刺激がありすぎて、舌が痺れるような感覚に襲われます。これらの成分は実は化学物質として精製されると危険なこともあるのです。

オレガノやタイムから精製した成分は米国では化学薬品会社から購入できます。これらの精製された物質は皮膚および肺に損傷を与える可能性があるのです。それゆえに、触ったり、吸入しないように、目立ったところに注意書きが書いてあります。

植物を不快なものにして動物、微生物から守る

そのまま生の塊のハーブやスパイスを食べると美味しさなどとはかけ離れた、不快な感覚がします。それがその植物たちには大事なのです。 つまり、ハーブやスパイスは、その不快性で、動物や微生物の攻撃から守っている化学兵器なのです。それが、これらのハーブやスパイスの成分の役割です。

自然の成分で虫を避ける

市販されている、植物に含まれる成分でダニを避けるもの、そしてトウガラシを米櫃(こめびつ)に入れることで虫を避ける、などというのも、このハーブやスパイスの力と共通していますね。

揮発性

ハーブやスパイスをかじると、その成分が揮発します。この揮発性により、空気を介して、動物を避ける効果があるのですね。

ハーブ・スパイスを無毒で食べる人間

人間はこれらのハーブ・スパイスを無毒で食べる方法を考えました。それは、「希釈」です。つまり、薄めること。そのままかじるととても強すぎるオレガノの葉も、少量を他の食材に混ぜて食べると風味が増します。例えば、肉に粉末のスパイスを振りかけるなど。

こうやってスパイスやハーブを加える事で穀物や肉だけにはない風味が加わり、複雑な味わいとなるのです。そして、太古の昔から脳に刻まれている、「見た目」や「匂い」で選別していた記憶を思い起こしているのです。

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