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焼酎好きのあなたへ|一度は使ってほしい「黒千代香」の話題

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お湯割のための酒器

最近は芋焼酎が随分ポピュラーになり、全国各地のスーパーや酒屋にもたくさんの種類の芋焼酎が並んでいるのを見ます。僕の学生時代(1970年代後半)は、飲もうと思っても東京で芋焼酎を探すのにはとても苦労しました。探すことができても、たしか「薩摩白波」くらいしか見つけられなかったと記憶しています。それに比べたら、今は全国どこに行ってもたくさんの芋焼酎の種類が見られるようになりました。

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芋焼酎には様々な飲み方がありますが、一番スタンダードなものは「お湯割」です。

そのための最適な酒器が「黒千代香」です。「黒千代香」は「くろじょか」と読みます。漢字は当て字です。

\実際に窯元も訪れました・長太郎焼は大好きな窯です/

\僕も飲んでます!/

「魔王」杜氏として有名になった前村貞夫氏が、白玉醸造から東酒造へ移籍して間もない頃手がけた意欲作で「魔王以上の焼酎を!」という熱意が感じられる熟成芋焼酎!

2種類の薩摩焼

薩摩焼には白薩摩と黒薩摩というジャンルがあります。白薩摩は、「白もん」と呼ばれる「上手物」(じょうてもの)。薩州の御用品とされ、身分の高い人たちに使われてきました。1867年のパリ万博で高い評価を受けたのは、この白薩摩です。

それに対して黒薩摩は「黒もん」と呼ばれ、「下手物」(げてもの)。つまり、庶民用。この黒薩摩で作る酒器が「黒千代香」です。黒薩摩は、黒釉、褐釉、飴釉など各種の色釉をかけて仕上げた陶器で、鉄分の多い陶土を使用しているため器胎は茶褐色をしているものです。

我が家の黒薩摩(指宿長太郎焼

黒千代香のイメージは

著者撮影「桜島」

算盤の球のようなユニークな銅に、つる草を編んだ硬い取っ手が付いている形は、錦江湾に浮かぶ桜島をイメージして作られたと言われています。その発想で黒千代香を作った人物が、「長太郎焼本窯」の初代・有山長太郎です。それまでも似たような形の酒器はあったらしいです。現在のものよりも胴体が長いものが多かったと聞きます。ある朝、海岸に出て桜島を眺めていた初代長太郎氏の目に、錦江湾に桜島のシルエットが写りこんだものが見えました。桜島とそのシルエットがソロバン玉のように見えたのだそうです。この姿にヒントを得て、ソロバン玉のように鋭角な胴体を持つ「黒ぢょか」を考案したと伝えられています。これを「焼酎が千代に香る」という意味を込めて「黒千代香」と命名しました。「千代」とは非常に長い時間ということですね。ちなみに、昔の長太郎焼の窯は僕の育った旧谷山市にありました。職人さんの息子さんと仲良くて、よく長太郎焼の庭で幼い頃から遊んでいたのはいい思い出です。南国らしい、庭に大きな蘇鉄があったことも覚えています。美術の教師をしていた父と訪れて、焼き物を作らせてもらったこともありますよ。

直火にかけてもオッケー?

伝統的なスタイルの「黒千代香」は、囲炉裏の隅の灰でゆっくりと温めるものだったらしいです。「黒千代香」を直火にかけると問題が生じることが多いです。伝統的製法の「黒千代香」は、ガスコンロの火などにかけると壊れます。陶器から焼酎が滲み出たりするのです。近頃は直火OKの特別仕様の「黒千代香」が売られていますが、購入したら必ず使用法を確認しましょう。

オススメの飲み方は

「前割り」という方法をオススメします。交通機関の割引みたいな名前ですが、、、。これは、芋焼酎を飲もうと思う数日前に芋焼酎を水で割り、飲む時に温める方法です。非常に味がまろやかになります。期間は3日から1週間。前日、つまり1日割ってもあまりまろやかになりません。面倒ですが、その割った芋焼酎をほのかに温め「黒千代香」に入れて飲むと味も雰囲気も格別なものになります。割り方は1:1が簡単だし、アルコール度数も程よくなるでしょう。

鹿児島在住の従兄弟に聞いたら

先日、このブログ「新料理物語」の撮影のために従兄弟のうちに「黒千代香」がないか電話しました。

答えは「あ〜あれは観光客のお土産用じゃないの?今は」というもの。時代は変わった、、、。僕が小さい時にはどのうちにもあったのに、、、、。で、どうやって飲んでるのか聞きました。

「僕らはね。最初に乾杯した生ビールのジョッキをさっと洗って、その中にドバッと芋焼酎と氷、好き好きで水を入れるだけ。そんな黒千代香でちびちび飲んでらんないよ!」。

ジョッキ?そういえば、亡くなった僕の父もビールのジョッキで芋焼酎飲んでました(笑)。僕のように長く鹿児島を離れているからこそ、「黒千代香」にロマンを感じるのでしょうか。

我が家の「黒千代香」

我が家のものは、霧島焼の「黒千代香」です。霧島焼は薩摩焼の一種で、明治32年生まれの宮下紫草(本名:猛/ 1899〜1987)が戦後、鹿児島県旧大口市に築窯しました。京都風の優雅な作品が多く、薩摩焼の陶芸界に新たな風を吹き込みました。それもそのはず、宮下紫草は、京都清水焼の作家、浅見五郎助に陶芸を学び、将来をそこで嘱望されていました。鹿児島の陶芸振興のために、昭和10年(1935年)に鹿児島県工業試験場に招かれたのです。

この「黒千代香」も、黒を基調としてはいますが、独特の窯変(ようへん)が加えられ優雅な感じもします。

窯変(よう変):陶磁器を焼く際、炎の性質や釉(うわぐすり)の含有物質などが原因で予期しない釉色(ゆうしょく)・釉相を呈すること。変化を求めて作為的にも用いられるとのことです。

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指宿長太郎焼の黒千代香

島津家御庭焼の絵師、有山長太郎の流れをくむ、指宿長太郎焼の黒千代香です。長太郎焼は僕の故郷の旧谷山市(現鹿児島市)にありました。僕には馴染みがあり、よく窯元の庭で遊んでいました。

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