お弁当

「桜島灰干し弁当」は活火山の力と人間の知恵が生んだすごい傑作だった!!!

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今回食べた「桜島灰干し弁当」

2021年夏、鹿児島に行きました。その時に鹿児島中央駅の「さつまち鹿児島中央駅みやげ横丁」で、ピンクのパッケージで、不思議な名前のお弁当がありました。

灰干し?

これはなんでしょう。僕は鹿児島で生まれ、鹿児島には時折訪れますが、こういう食品は見たことありません。灰汁を使った郷土菓子「あくまき」はよく知られています。パッケージ見ると、「桜島火山灰」という文字が目に飛び込んできました。「火山灰」?

「火山灰」とお弁当、どう関係しているのでしょうか。

桜島

鹿児島湾(錦江湾)に浮かぶ桜島は、鹿児島のシンボルといわれています。(ここでは、鹿児島でも九州本土に限って書いています。鹿児島県は非常に広く、離島もたくさんあります。温帯から亜熱帯にわたる南北600キロの広大な県域に広がる26の島々をはじめ、美しい島々が多い県です)

桜島は、高さ1,117ⅿ(北岳・御岳)、面積約80km²、周囲約52km。北岳・南岳の2つの主峰から成る複合火山です。霧島錦江湾国立公園に指定されているのですよ。

複合火山とは、複数の小さな火山体が寄り集まって、見かけ上一つの大きな火山体になったものをいいます。実在する火山はほとんど複合火山なんですよ。

鹿児島の代表的な民謡「鹿児島おはら節」にも桜島は出てきますね。

 

花は霧島 煙草は国分こくぶ燃えて上がるは オハラハー 桜島」

桜島の爆発

桜島は約26,000年前に誕生し、17回の大噴火を繰り返してきました。以前はその名の通り「島」でしたが、1914年の大正噴火で流れた溶岩によって海峡が埋め立てられ、大隅半島の一部となったのです。


現在も毎日のように小規模な噴火を繰り返しています。
2011年の爆発的噴火は996回を数え、観測史上最多を記録しました。一年で1000回近くの爆発ですよ!

このような活火山の火山灰を料理にどのように活用しているのか?と不思議でした。

製造元の株式会社「樹楽」のHPを見ると、作り方の説明がありました。

桜島灰干しの作り方

よく水洗いした灰を20日間かけて天日干しにする。

天日干しにした灰を300度のオーブンで1時間焼くことで、保健所にも許可された安心・安全で吸水効果の高い灰が完成します。

加熱殺菌した桜島の火山灰と白砂(シラス/鹿児島湾周辺一帯に堆積した白っぽい軽石質の土)を混ぜ合わせる。

「火山灰」の上に「さらし」「特殊フィルム」「魚」を置き、その上に、「特殊フィルム」「さらし」「火山灰」の順番で重ねる。

数時間かけて干物にする。

完成です!灰を作る行程で約1ヶ月かけた灰干しは、余分な水分が抜け、冷ましても魚臭さがありません!

大変な手間だ!

これは大変な手間がかかっています。

ここまで至るに数多くの困難がありました。
正直諦めてしまおうかとも思いました。

だけど
お客様のありがとうが聞きたくて
お客様の美味しかったが聞きたくてその思いが桜島灰干しを生みました。

株式会社「樹楽」のHPより

う〜ん、なるほど、難しい過程を通り越してできた製品なんですね。

そして、この灰干しを作る行程は機械化できないものなのだそうです。

桜島灰干しの効果

魚を灰干しにすることで、魚の臭みがとれ、そして、酸化を抑えるのだそうです。すごい効果ですね!

その上に、魚の旨味が凝縮されて、保存も効くとか。これは二重に素晴らしいアイデアだと感じます。

作った人

梛木春幸(なぎしゅんこう)さんが、この灰干しの考案者です。

梛木春幸(なぎしゅんこう)さんは、食育へのポリシーを持ってらっしゃって、それは、「地産地消」、そして「日本の食文化伝承」なのだそうです。なるほど、だから桜島の灰と、地元の魚、を使って「桜島灰干し」を考案されたのですね。

梛木春幸(なぎしゅんこう)さんは、長年、京都の日本料理店などで腕をふるっていたのだそうです。しかし、鹿児島に帰郷後は、地元食材を使用した町おこし事業に取り組んできた経過があります。

灰干しへの歩みは、ある漁師の言葉から始まったとか。。。

「難儀しても銭にならん仕事を、息子に継がせられん」

鹿児島はおいしい魚がたくさん捕れる。しかし、名が知られていない魚は安値でしか売れず、箱や氷代を考えて半分は捨てるというそうです。「第1次産業の後継者不足の原因はここにある」と考えた梛木春幸(なぎしゅんこう)さん。「ならば高値で、安定的に魚を買うための事業をおこそう」と、探し当てたのが灰干し製法だったのだそうです。

梛木春幸(なぎしゅんこう)さんは、商品のプロデュースだけでなく、講演会、地域活性化などさまざまな活動に取り組んでおられるようです。マルチですね。久々にこういう方を知りました!

数々の受賞

鹿児島中央駅で87ヶ月売り上げ1位(2021年9月現在)

87ヶ月といえば、年に換算して、約3年半年です。

ぶっちぎりの独走状態ですね。

九州駅弁グランプリ準優勝

2014年九州駅弁グランプリ準優勝です。

フード・アクション・ニッポンアワード食文化賞

これは、国産農林水産物の消費拡大に寄与する事業者・団体等の優れた取り組みを表彰し、全国へ発信することにより、事業者・団体によるさらなる取り組みを促進することを目的として2009年度に創設した表彰制度です。

ガイアの夜明け(テレビ東京)にも取り上げられた

鹿児島県鹿児島市、町のシンボル「桜島」は現在も噴火活動を繰り返す活火山だ。その火山灰が降り注ぐ町では、屋外に洗濯物を干すこともままならず、火山灰が付着した農作物は、葉が傷んでしまうこともあるという。 まさに“やっかいもの”である、この火山灰を使って「絶品の味」を生み出そうというのが、梛木春幸さんだ。目をつけたのは、灰の中で食材を熟成させる「灰干し」。魚ならば、灰干しによって臭い成分のアンモニアを含んだ水分が吸い取られ、臭みがなくなるとのこと。また、うま味成分であるアミノ酸が増幅するというデータも出ているという。 今、梛木さんが取り組んでいるのは、漁港で買い手がつかない魚たちを、この灰干しで“売れる魚”に生まれ変わらせること。そこには、ある危機感があった。「1次産業の高齢化が進んでいるのは儲けにならないから。このままでは若い人がいなくなり町は終わってしまう」。地元の食材の「新たな価値」を生み出す挑戦を追う。

テレビ東京のHPより

データ

桜島灰干し弁当

購入場所:鹿児島中央駅 さつまち鹿児島中央駅みやげ横丁

栄養成分表示(1折当たり)

  • エネルギー:586kcal
  • タンパク質:20.9g
  • 脂質:12.4g
  • 炭水化物:90.5g
  • 食塩相当量:3.0g

その他のデータ

  • 値段:890円(税込)
  • 製造者:株式会社 樹楽
  • 鹿児島県姶良市加治木町木田2344-4

実食

ご飯(国産米):粘り気が多く、旨味を感じました。

灰干しぶり塩糀焼:味はかなり濃厚です。 美味しさがぎゅっと詰まっている感じ。 臭みもありません。 鹿児島県産の魚を使っています。

卵焼:味が濃く感じます。 焼き加減は職人こだわり、とうたっているだけのことはありました。 さすが和食の専門家の作です。

鶏柚胡椒焼:ピリッとスパイシーで臭みもなく好きでした。

豚しぐれ煮:鹿児島県産の豚肉を甘辛く仕上げています。 脂が甘いと書かれていますが、その通りでした。

牛蒡きんぴら:さくさくとして歯応えがいいです。 鹿児島県産だそうです。

鶏唐揚げ:臭みがありません。 胸肉を使っています。

椎茸旨煮:出汁がしっかり入った味です。

華蓮根甘酢漬・梅干し:さっぱりして箸休めにいいです。 蓮根のピンク色は赤キャベツの天然色素だそうです。

青味野菜(いんげん):お弁当に色を添えてくれてきれいです。

総評

全体に小ぶりの弁当で、僕にはちょうどいいサイズでした。この弁当のメインの「灰干し」の魚はとてもユニークなだけでなく、旨味が凝縮されていて、しかも臭みもないので、とても美味しくいただきました。

個性的、ユニーク、独創的。鹿児島の美味しいものが欲しい人にはぴったりのお弁当だと感じます。

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