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「青花魚」と書いて「サバ」と読む、そのココロは
近年の健康ブームもあって鯖缶、も話題になっていたのは記憶に新しいですね。
日本では鯖ですが、中国では以下のように書きます。
青花鱼 (チンファユー)
中国から文字を輸入した日本にも、同様の書き方があります。「青花魚」と書いて、サバと読みます。漢字三文字なのに、二文字発音!?です。これには理由があり、本来のサバの書き方は、青花魚(三文字)なのです。魚のサバを「鯖」と書くのは日本でできた書き方なんですよ。
僕が想像するに、古代の日本は後進国だったから、文字はなかったはずです。そこで、当時の最先進国だった中国から文字を輸入したのは周知の事実ですね。「青花魚」という文字を見て、「どうもこれは日本語の固有語「サバ」に相当するらしい」というので、「青花魚」を二文字発音の「サバ」に当てて読んだのではないかと思っています。
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鯖とは「寄せ鍋」のこと?
古くは、鯖という漢字は、中国では、本来、魚や鳥獣の肉などを混ぜて煮た料理の名前、つまり「よせなべ」を意味していたようなんです。
「鯖」を「寄せ鍋」とした記録は、古く前漢の成帝の時代。成帝(B.C. 51~B.C. 7)の母方の叔父、婁護が作った鍋料理に見られるんです。
成帝(B.C. 51~B.C. 7)
諸侯(れっこう)というその当時、人臣が昇りうる最高の爵位に同日に昇格した人物が5人いました。王潭・王根・王率・王商・王逢時の5人です。
これを五列侯と呼びます。
この5人から婁護が賜った数々の肉をまじえ煮た御馳走が「五候鯖(ごこうせい)」ということです。西京雑記(せいけいざっき)の第二巻にこの話は出てきます。また、時代は下りますが、唐の韓翃(かんこう)の詩にも出てきます。宋代きっての文豪、蘇軾(そしょく)の場合も「五候鯖」が鍋物として詩の中にも出てくるのですよ。
また、古代の日本人が海に泳ぐ青いサバを、中国のコイ科の淡水魚の一種「鯖」(セイ)と取り間違った可能性もあります。日本では、青々とした「サバ」を表すのに、ふさわしいことからこれではないかと思ったのでしょうか。ちなみに、「鯖」と書いて「サバ」と読ませるのは訓読みですが、代表的な音読みでは、「ショウ」(呉音)。「セイ」(漢音)。
現在「鯖」の読み方は、「少なくとも」6種類あります。
ヨウ、セイ、ショウ、エイ、よせなべ、さば
では、我々の魚、「さば」の語源は?
「大和本草」(やまとほんぞう)。シーボルトにして日本のアリストテレスと称された貝原益軒(1630年~1714年)が残した江戸時代・生物学の金字塔にはこうあります。
この「狭歯」がサバとなったと書かれています。このように歯が小さかったことから、「小歯」とも書かれていました。群れで移動するため、「多い」という意味の古語「サハ」が濁音化され「サバ」になったとも言われています。(「和訓栞」(わくいんのしおり)江戸時代中期の国学者谷川士清 (ことすが) (1709年~1776年)が著わした国語辞典には、「多を、サハと訓めり、云々、澤も、多の義、藪澤の意也」とあります。)
もっと昔の書物には
平安時代中期に作られた辞書、『和名類聚抄』(わみょうるいじゅしょう)というものがあります。承平年間(931年 – 938年)、勤子内親王(きんし/いそこ)(904年~938年)の求めに応じて源順(みなもとのしたごう)(~983年)が編纂した。略称は和名抄(わみょうしょう)です。その中の説明に、、、
源順(みなもとのしたごう)
「鯖和名阿乎佐波味鰄無毒口尖背蒼者也」とあります。つまり「阿乎佐波」(アチサハ)と呼ばれていたんですね。漢字が多く難解そうですが、毒がないとか口が尖ってるとか読めますね。
サバ郡からは愚説?
周防国佐婆(さば)郡の名産だから、サバと呼ぶという説もあります。
ウィキペディアより
しかし、これは愚説とされているようですよ。ちなみに、周防の国府は古くから開けた佐婆(防府)に置かれていました。
サバと盂蘭盆(うらぼん)
盂蘭盆会(うらぼんえ)とは、太陰暦7月15日を中心に7月13日から16日の4日間に行われる仏教行事のこと。盂蘭盆(うらぼん)、お盆ともいう。また、香港では盂蘭勝会と称する。
『盂蘭盆経』(西晋、竺法護訳。今日では偽経とされる)、『報恩奉盆経』(東晋、失訳)などに説かれる目連尊者の餓鬼道に堕ちた亡母への供養の伝説に由来する。もともとは仏教行事であるが、唐代の道教の隆盛期に三元の一つの中元節の流行とともに儀礼の融合が進んだ。
日本における日付については、元々旧暦7月15日を中心に行われていたが、改暦にともない新暦(グレゴリオ暦)の日付に合わせて行ったり、一月遅れの新暦8月15日や旧暦の7月15日のまま行っている場合に分かれている。父母や祖霊を供養したり、亡き人を偲び仏法に遇う縁とする行事のこと。
ウィキペディアより
この盂蘭盆にこのサバを蓮葉(はちすば/ハスの葉のこと)で包む習慣があるそうです。サバでこの蓮の葉を包むと、葉をくさくします。それゆえに以下の二つの言葉を使いサバと呼ばせたという説もあるのです。
クサシ + ハ = サバ
これは、面白いのですが珍説としてまともに取り扱われていないようです。
サバをお中元に!
サバは、江戸時代に七夕祭の宵、つまり7月6日に御三家をはじめ諸大名から七日七夕の祝いとして将軍家にサバを献上しました。その時にはサバを刺鯖にしました。
のちに本物のサバでなく、金銀を「鯖代」として献上するようになりました。
これがのちに民間に伝わり、7月15日のお盆の祝儀として刺鯖を送るようになったという説があります。
これらは、今日のお中元の起源です。
サバ読みやがったな!!!!
数をごまかす時に「お~サバ読んだな!」なんで言いますよね。
鯖のような中型の魚は「ひとよ、ふたよ、みっちょう、よっちょう、・・・」などと早口に言って目にもとまらぬ速さで数えるだそうです。これを「五十集(イサバ)よみ」といいます。魚を早口で数えることですね。この「五十集(イサバ)よみ」の間、数えている途中で数をごまかすこともあることから「数をごまかす」意味に使われるようになったそうです。
五十集(いさば)とは、魚市場のことです。
もう一つの説は、鯖は腐りやすいので早く売りさばく必要があったそうです。ひとつひとつ丁寧に数えないで、「いいかげんに数えた」からとか、二枚を一連とした「刺し鯖」にして数えたからとする説もあります。「刺し鯖」とは背開きにした塩鯖の一尾の頭をもう一尾のエラの間に刺して重ねたもので、昔はよく庶民の食卓にのぼっていたといいますが、最近は見ないですね。
各地でいろいろな食べ方をされている鯖、筆者は高知県で鯖の丸焼き(浜で焼く)を食べて美味しくて感動したことがあります。そのほかにも、鯖は焼き物、揚げ物、そして寿司、と様々に料理されていますね。
メイド・イン・ノルウェー
さて、最近スーパーでノルウェー産のサバを多く見ますよね。脂ののったサバは焼いてもよし、煮てもよし、の人気者です。ノルウェーでは、サバ食の歴史は古く、ヴァイキングの時代まで遡ると言われています。
年間通じて脂ののったノルウエー 産サバが手に入るのは、脂ののっている9、10月だけに捕獲し、現地で冷凍しているものを輸入するからだそうです。
ノルウェー海産局のサイトから
なんと、ノルウェーで漁獲したさばの総量のうち、実に98%は国外に輸出されるんだそうです。この時期、ノルウエーのスーパーでサバを見ることはあまりないということですよ。サバはみんな日本に行ってしまうのかも。。。
ちなみに、日本で売られているノルウェー産のサバのほとんどは塩をされた「塩サバ」という加工品。
でも、ノルウェーで売られているサバは生か、燻製です。国によって食べ方も違いますね。
鯖街道
街道というと、みなさん、何が思い浮かぶでしょうか。
この地図のようなルートが鯖を運ぶ鯖街道のルートです。様々な海産物を扱ってらっしゃる小浜市の田村長さんのご好意で地図を転載させていただきました。ちなみに創業150余年の老舗です。(親切にしていただきました!)
昔、現在の小浜市から京都まで海産物を陸路で運ぶ道がありました。日本海で捕れた生サバをその場で塩でしめて京都に輸送するのです。京都まで丸一日かかりました。京都に到着する頃には「いい塩加減」になっていたそうなんですよ。
古代から平安時代まで、若狭国は御食国(みけつくに)として定められていました。これは、皇室・朝廷に海水産物を中心とした御食料(穀類以外の副食物)を貢いだものを指しています。
「養老律令」の施行細則を集大成した古代法典「延喜式」によると、若狭国は10日毎に「雑魚」、節日ごとに「雑鮮味物」、さらに年に一度「生鮭、ワカメ、モズク、ワサビ」を御贄として納めることが定められていたそうです。昔から若狭湾から京都に海産物は運ばれていたのですね。
ちなみに「鯖街道」という名称は、近年つけられました。
サバ釣りは楽しんでるヒマがない?
サバは、昼間は水深70メートルから150メートルにいるサバも、夜は海面付近を泳ぐことから、船釣りでも堤防釣りでも釣れます。
「引きを楽しもうと思うな!」
サバは走ります。縦横無尽に走り回り、周りの釣り客の仕掛けに絡みます。見ていると「お~元気だな~」と思いますが、早く解決しないと大変なことになります。この収拾がつかない状態を「おまつり」と呼びます。
「おまつり」
こうなったら大変です。周囲にも迷惑がかかるし、自分自身もグチャグチャになった仕掛けを解く作業が待っています。(大抵は僕はそこで糸を切って捨ててしまいます。それだけ、絡みます。)
「おまつり」の語源は裁縫の「まつる」からきていると言う説もあります。それだけ糸が絡んでいると言うイメージでしょうか。できれば、多点掛け(一度に何匹も魚が掛かること)は狙わずに、一尾一尾ていねいに釣るほうがいいでしょう。そして、やることは一つ。
「のったら(釣り針にかかったら)早めに引き上げる」
ロッドも「先調子」のもので、しっかりしたものがいいです。(ちなみに僕はチヌ釣りをしますが、引きを楽しむために「胴調子」のロッドを使いますが、このロッドでサバと引き合いしたらかなり悲惨な目に遭います。)
それもこれもサバ科の魚は高速で泳いでいないと酸欠で死んでしまうので、とにかく泳ぎます。水槽の中でよく見るエラを動かし口をパクパクしながらじっとしている魚ではありません。泳ぎ続けることで、口とエラに海水を送り込むことで呼吸しています。
身に血合いが多いのは、筋肉に赤血球として多くの酸素を取り込んでいるためです。だから釣り針にかかったままでも走ります。そして、釣り上げたあとでも、ピリピリと体を震わせ、筋肉をひたすら動かし続けているのです。
この「おまつり」などのため、サバ釣りに特化する人以外には釣り人には嫌われてます。(食べるとおいしいのに)
「うわ~サバがかかった~」
と近くの釣り人が叫ぶと周囲は緊張します。ここら一帯で「おまつり」が始まるかもしれないからです。夏の大サバ祭り大会だけは避けたいからですね。仮に釣れても「チッ、外道か~」という極めて不名誉な名称で呼び捨てられることがあります。
これは仏教用語で、「仏教以外の教え」ということで、つまり目的でない魚の釣れた場合の呼び方です。タイやヒラメなどの高級魚が釣れても「アジ狙い」の釣り人には「外道」なのですよ。
「サバの生き腐れ」
サバは悪くなるのに足の速い魚です。僕は釣ったら、すぐに首を折り血抜きをして、内臓もすぐにとってしまいます。そうでないとすぐに悪くなります。
サバのアレルギー?
2018年にアレルギー科のクリニックで「アレルギー検査」をしました。血液を採取して、調べるんです。僕は杉花粉症があるので、その「スギ」と、サバにあたって苦しんだことが数回あるので、サバアレルギーも調べてもらいました。過去、サバの刺身を食べて(しかもシメサバにもあたったことがある)、苦しんだことが複数回あるからです。不思議と「焼きサバ」にはあたったことはないんですよ。
結果は。。。。
「尾崎さん。スギはアレルギー反応出てますね~。サバは何も出てません。ついでにハウスダストも調べましたが、これもなし」。ということは、アレルギーでなくて何?と頭に疑問が走りました。
じゃあ、あの苦しみはなんだったのだろう?
結論から言うと、たぶん「アニサキスアレルギー」
青魚を食べて起きるアレルギーは、A)魚自体のアレルギー B)ヒスタミンによる“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒” C)アニサキスアレルギー の3つなんだそうです。このうち一番多いのが C)アニサキスアレルギーなんだそうです。
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3つのアレルギー反応
A) は血液検査でその魚のアレルギー反応(IgE抗体)が陽性に出るものもありますがあまり多くないそうです。僕の場合、陰性でした。
B) は“アレルギー様食中毒”または“ヒスタミン食中毒”と呼ばれるものです。原因は、サバは皮の下に“ヒスチジン”という物質を持っています。腐敗菌(代表的なのは“モルガン菌”)に感染すると、この“ヒスチジン”が“ヒスタミン”に変化してアレルギー症状が出るそうです。
そして問題の C)アニサキスアレルギー
これが青魚の蕁麻疹の原因で一番多いと考えられています。アニサキスとは、サバ、イカ、アジ、イワシ、カツオ、サンマなどに居る2~3cmの寄生虫(線虫)です。そのアニサキス(の抗原)が原因になって起きるアレルギーで、IgE抗体を介したⅠ型アレルギーと言われています。現在16成分のアニサキスの抗原が分かっています。
鯖の漢字の特徴
鯖
サバの正式な漢字は「魚+青の旧字体」です。
つまり 魚 + 靑 = 鯖 です。
「鯖」に使われている「靑」という漢字は、「青」の旧字体です。新字体の「月」の部分が「円」になっていますね。
旧字の「靑」は、昭和56年9月30日まで子供の名づけに使えました。しかし、翌10月1日以降は使えなくなったのです。現在も使えませんよ。これに対し、新字の「青」は、今も子供の名づけに使えます。
サバの表記で、「円」を使用する「靑」(旧字体)と「月」を使用する「青」(新字体)のどちらを使用しても間違いというわけではありません。
しかし、厳密には旧字体の「靑」を使用した場合が、正しい漢字と言えます。