ルーマニアにはよく行きます。僕はルーマニアで二つの国立オーケストラの常任指揮者を務めているからです。

初めてルーマニアに行ってから、今年2025年で31年めです。長いですね。僕がなぜそんなに長くルーマニアで仕事できたか。。。それは、「食事が美味しい!」ということもあるのです。ルーマニアの料理は本当に日本人の口にあっていると思います。
冬のルーマニア、民族衣装を着た少年たち。
そのルーマニア料理の中でも、今回はルーマニアの代表的なスープ「チョルバ (Ciorba)」をご紹介します。
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「チョルバ」とは
チョルバ (ラテン文字: Chorba、トルコ語: çorba チョルバ [tʃoɾˈba]、ルーマニア語: ciorbă チョルバ [ˈt͡ʃorbə]、ロシア語: шурпа シュルパ [ʂurˈpa]、キルギス語: шорпо ショルポ [ʃorpó]、カザフ語: сорпа スルパ [su̯ʊrpɑ́]、ウズベク語: Sho’rva シュルヴァ
) は東ヨーロッパ、アルジェリア、中央アジア、中東、南アジア地域で食されているスープもしくはシチューの一種である。ショルバという語 (ウルドゥー語: شوربہ、ヒンディー語: शोरबा) は単に出汁を意味する。中国の新疆ウイグル自治区では、スルパ (Xurpa) として知られている。
つまり、チョルバ は東ヨーロッパ、アルジェリア、中央アジア、中東、南アジア地域で食されているスープもしくはシチューの一種なんです。かなり広範囲で食べられていますね。

「チョルバ (Ciorba)」ルーマニア編
ルーマニアではスープというと、「スーパ(Supa)」と「チョルバ (Ciorba)」の2種類があります。
- 「スーパ(Supa)」は具の少ないスープ
- 「チョルバ (Ciorba)」は肉や野菜がたくさん入った濃厚なスープ
このように考えてもいいと思います。
「チョルバ」は、ふすま、つまり小麦を製粉するときに除かれる外皮部と胚芽を使って、それを発酵させて作るボルシュ(borş)という調味料を入れ、酸味をつけるのが特徴なんです。
僕は「スーパ(Supa)」よりも「チョルバ (Ciorba)」を注文することが多いです。
僕は「チョルバ (Ciorba)」の酸味が美味しいと感じます。ルーマニアで指揮を始めたのは約30年前。色々と大変でしたが、食事が美味しいと感じなければここまで続かなかったと思います。その食事の中でも、「チョルバ (Ciorba)」は大好きなものの一つです。

「ボルシュ(borş)」とは
「ボルシュ(borş)」はスープのようなものではありません。ルーマニア料理やモルドバ料理で使われる液体の材料、またはこの材料で作られる酸っぱいスープのことです。
「ボルシュ(borş)」のおかげで、「チョルバ (Ciorba)」は酸味のあるスープになっています。
「ボルシュ(borş)」は、小麦ふすまを水で発酵させたものから作られているのですよ。
発酵し濾過後、やや黄色がかった酸味のある液体になり、そのまま飲むこともできます(けっこう酸っぱいです)。乳酸に加え、ふすまから抽出したビタミンやミネラルが含まれていますよ。
ネギを加えることもあります。野菜や肉のスープ、キャベツ料理など、広く使われています。
この「ボルシュ」、ロシアやウクライナの同名の料理(ボルシチ)とは何の関係もありません。
「チョルバ (Ciorba)」の種類の見分け方
ルーマニアのレストラン・メニューを見ると、「チョルバ (Ciorba)」という単語と、それに続くde pui, de burta, de vacaという言葉を見かけます。
これはわかりやすくて、Ciorba(チョルバ)に続くものは、文字通り、これから食べるものの主な食材を説明しているのです。それらは、鶏肉(de pui)、トリッパ・「牛の胃袋」主に第2胃袋(de burta)、牛肉(de vaca)です。
例えば、、、、
- 表記:Ciorba de burta
- 意味:牛の胃袋のCiorba(チョルバ)
このようになります。

「チョルバ (Ciorba)」と共に
Ciorba(チョルバ)ほとんどのルーマニア料理店で、生の唐辛子を添えて提供されることが多いです。注文する時には Ardei Iute (アルディ ユテ)と注文してください。
これは、アタリハズレがあり、「辛い!」というものと、そうでないものがあるので、少しづつかじってくださいね。

「サワークリームも入れるか?」と、聞かれることが多いです。これは「Smântână (スムントゥナ)」のことです。
「Smântână(スムントゥナ)」とは、ルーマニア料理で使われるサワークリームの一種で、ルーマニアのサワークリームや手作りサワークリームを指します。ミルクから脂肪分を分離して作られ、加熱しても分離しにくい特徴があり、ルーマニアの郷土菓子や料理に幅広く使われます

それでは、ルーマニアの「チョルバ (Ciorba)」をご紹介しましょう。

チョルバ デ ブルタ (Ciorba de burta)

ルーマニアの「チョルバ (Ciorba)」と言ったら、なんと言ってもこれでしょう。ルーマニアの代表的な「チョルバ (Ciorba)」です。
白濁した牛の胃袋のチョルバで、ニンニクが利いています。いわゆるルーマニア版モツ煮込みです。牛の胃袋でも、第2の胃であるハチノスを使います。
胃袋と聞いて臭みが強いのでは、と感じる人が多いと思います。でも、意外にこの「チョルバ (Ciorba)」はあっさりしているのです。第2の胃であるハチノスは、牛の胃袋にある可食部分ですね。
ハチノスは、なんと牛一頭からは約1kgしか取れない希少部位です。

これは、まず徹底的に洗浄されます。そのように洗われた後、酸っぱいスープを作るために茹でられるのです。一見、ヨーロッパ料理としては奇妙な食材のように感じますが、バルカン半島のあちこちで、この食材は見られます。そして、さまざまな形で、またフランス料理やスペイン料理、シチリア料理でも見かけることができるのですよ。
トランシルヴァニア地方を起源とする説があります。
チョルバ デ ペリショアーレ (Ciorbă de perişoare)

これは、肉団子の「チョルバ (Ciorba)」です。実は、一時期、大好きで毎日のようにこの「チョルバ デ ペリショアーレ(Ciorba de Perisoare)」を食べていました。
レストランによって味が少しづつ違いますが、僕の好きなものは、レモンの酸味、ミートボールの香ばしさ、濃厚なトマトスープがぎっしり詰まった超フレーバーのものです。
「チョルバ デ ペリショアーレ(Ciorba de Perisoare)」は、通常、豚ひき肉で作られたミートボールに米とスパイスを混ぜ、玉ねぎ、パセリ、セロリなどの野菜と酸味のある液体や粉を加えたスープで煮込みます。そして、パセリを添えることが多いです。
「チョルバ デ ペリショアーレ(Ciorba de Perisoare)」は季節を問わず作ることができ、手持ちのものによってさまざまな野菜や青菜を入れることができます。家庭では、決まったレシピはなく、それぞれの主婦の好みに合わせて作られる。
通常、サワークリームと唐辛子が添えられますよ。僕は好みの問題でサワークリームは入れません。
チョルバ ツァラナスカ デ ヴァクーツァ (Ciorbă țărănească de văcuță)
これは、直訳すると「農家の牛肉スープ」です。
「農家の」と表現するのは、素朴で季節感があり、その時期に手に入る野菜で簡単にアレンジします。

想像するに、田舎のおばあちゃんたちがよくやっていたように、庭に出て、その季節に採れるものをエプロンいっぱいに持って帰ってきて、まさにその食材を使って料理したスープという感じでしょうか。
基本的に、牛肉、玉ねぎ、キャベツやその近縁種(カリフラワー、ひよこ豆)、インゲン豆やグリーンピースを使うことも多いです。ちょっと「ごった煮」ぽいですね。パプリカはあれば入れる程度で、ジャガイモも同じで、入れても入れなくてもいいというかなり自由なものです。
それゆえに、お店や家庭によって味が違います。レストランでは必ずあるので、定番の「チョルバ (Ciorba)」とも言えますね。
チョルバ デ ファソーレ(Ciorbă de fasole)
これはルーマニの豆のスープです。

インゲン乾燥豆とタマネギ、赤ピーマン、パセリの根、セロリの根などの野菜で作るルーマニアの伝統的な酸っぱいスープ、「チョルバ (Ciorba)」の一種です。

このチョルバはは通常、塩、胡椒、ラベッジ、タイム、ボルシュで味付けされる。この「チョルバ (Ciorba)」は温めても冷やしても美味しく、ネギ、ニラ、タマネギ、パンと一緒に食べます。
僕はこの「チョルバ (Ciorba)」は好きですよ。
チョルバ デ ポルク アルデレニャスカ(Ciorbă de porc ardeleneasca)

サワークリームを入れていないもの
Ardealとはルーマニア語でトランシルヴァニア地方のことです。
エストラゴンとサワークリームを使った酸味のあるスープ。
エストラゴンの香りはヨモギに似ています。

古くから使われているハーブです。紀元前500年頃からギリシア人はエストラゴンを栽培していたといいます。ラテン語で「小さなドラゴン」という意味の「dracunculus」が語源です。
フランス語ではエストラゴン、英語ではタラゴンと呼ばれています。真っ直ぐに伸びる茎と細長い濃い緑の葉が特徴です。
僕の活動するトランシルヴァニア地方ではとてもポピュラーな料理ですよ。このエストラゴン入りの豚肉スープは、トランシルヴァニア地方の美食の象徴です。トランシルヴァニア地方では、どんな伝統的なレストランでもメニューに載っています。クリームがたっぷり入っていて「チョルバ (Ciorba)」の色が白いのが特徴です。
「チョルバ (Ciorba)」の話題でした。ルーマニア旅行の参考にしてください。
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