ギリシャのペロポネソス半島をレンタカーで一周しました。2011年です。
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ぐるっと半島を移動してオリンピアへ
オリンピアでは古代オリンピックの遺跡など見ました。
オリンピアの古代オリンピック遺跡の競技場で今まさに走ろうとしている著者/短距離は一直線のコースです
そしてオリンピアから西に移動して海沿いに移動。北上して、パトラという港町からギリシャ本土へフェリーで行くいうことにしました。
どこもレストランは閉まっている
お腹が空いたので、キリニという港町でお昼ご飯を食べようと思いましたが、オフシーズンのためになかなかレストランが開いていません。そこで、「ホテルにいったら泊まり客のためにレストランは開いているはずだ」と思い、ホテルを探しました。
しかし、ホテルもどこも閉まっています。ある小さなホテルの玄関でインターホンを鳴らしました。中からオーナーらしき男性が出てきて伝えられました。
「今は閉まっています、まだ建設したての開業前で準備中なんです」。
そうですよね。施設は真新しいし、目の前のビーチにも人っ子ひとりいません。ファミリーで家族経営するつもりで開店の準備に忙しいらしいです。
僕たちは落胆して、「お腹空いてるんですけど、どこかレストランありませんか?」と聞きました。
じゃあ、ここで食べたらいい
「それだったら、今、家族で食べようとしているので、同じものだったら出せますよ」。
ラッキー! とても親切な人で、それも家族で食べようとしている同じランチを食べられるなんて、とても興味深いです。ホテルも家族経営らしく、こじんまりした海辺の建物でした。
オープンエアのレストランを二人で独占。もちろん開業前なので客は誰もいません。目の前は海、そして潮の音がBGMです。贅沢ですね。
オーナーはまずとてもよく冷えたミネラルウオーターを持ってきました。乾燥したギリシャではよく喉が渇きます。嬉しいですね。
そして次々と料理を持ってきてもらいました。
グリークサラダがまず来ました。「まかない」って言っていたのに、本格的なギリシャ風のサラダじゃないですか! フェタチーズが美味しそう。フェタという名称はギリシャ産に限り許されているのですよ。羊や山羊の乳で作られるチーズです。食塩水の中で発酵させるので塩気が強いです。ギリシャでは紀元前から作られていました。同じ種類では、僕の活動するルーマニアではブルーンザというものがあります。
このフェタチーズとオリーブオイルが合うのです!
そして肉団子とポテトフライ。肉団子はいい香りをしています。何かスパイスが効いている感じがしてワクワクします。
「はい! これがメインディッシュね」。
なんと最後に来たのは、イワシのフリットです。これは、新鮮そう。オーナーは微笑みながら言いました。
「どうですか、こんな感じで?」
もちろん笑顔で答えました。
「More than enough!」つまり、十分すぎる!ということ。
このイワシは本当に美味しかったです。「たかがイワシ、されどイワシ」という想いに駆られました。何かが違います。ただ新鮮というだけでなく、この辺りのイワシは美味しいのかもしれません。
地中海のイワシ
僕たちが食べたイワシの美味しさの理由はなんだろうと考察しました。
釣り師の立場から考えた
マイワシの成魚は主に植物プランクトンを食べるのです。そしてこういう魚はエラの形が独特です。大量の海水をマイワシは取り込むのですが、エラには口から入った餌生物をこしとる鰓耙(さいは/エラについているトゲのようなもの)という部分があり,プランクトンをたべる魚はこの鰓耙が良く発達しています。エサはこの鰓耙(さいは)で濾され,口の中に残るという仕組になっているのです。
ちなみに、稚魚のシラスの状態では、動物プランクトン(エビやカニの稚魚など)を食べます。釜揚げしたシラスのお腹によく赤い部分のあるものが見受けられますね。これはまさしく甲殻類のアスタキサンチンという赤い色素成分を含んでいるためなんです。イワシは徐々に成魚になるにつれて植物プランクトンだけを食べるようになるという説が過去にありましたが、最近の研究では動物、植物、どちらのプランクトンも食べるようになるというものもあります。
地中海の青い色
海の色は植物プランクトンの量によって変わります。プランクトンが少ないと「黒潮」のように青黒いのです。プランクトンが少ないために入射した光線が反射されないからですね。そして植物プランクトンが増えると、青い光が光合成色素で吸収されやすくなり、そしてその光が散乱して海面に返ってきますので、「緑」っぽくなってきます。それ以上植物プランクトンが増えた状態が「赤潮」ですね。
地中海の海の色は青でも、浅瀬では白い砂(すな/白い石灰質)から跳ね返った光の色が混ざってエメラルドグリーンになっている状態です。
となると、地中海は不純物の少ない状態に石灰質の砂が反射し、きれいに見える海。プランクトンの量からして海としてはそんなに豊かな海ではないことになります。
では、なぜあんなにイワシが美味しいのか
- やっぱりイワシの食べているプランクトンの種類が違うのかなというのが一番の考えです。
- または、僕たちがとてもお腹が空いていただけなのかもしれません。
- フリットという料理法、そして料理が上手だったのかも
衣にメレンゲを加えて作る揚げものを、イタリア語ではフリット、英語ではフリッターと言うのです。また、フランス語ではベニェと呼ばれます。「フライ」は一般的に、食材を小麦粉、溶き卵、パン粉の順につけて揚げたものを指します。「フリット」は食材に、小麦粉・卵黄・油・牛乳・塩、そしてメレンゲ(卵白を泡立てたもの)の入った衣をつけて揚げたものです。僕らの食べたイワシが美味しかったのは、その衣の配合の割合か、または揚げる温度と時間か、その影響かもしれません。
いずれにしても、心に残る料理、心に残る人々でした!
オーナーに別れを告げ
オーナーに別れを告げ、私たちはパトラからフェリーに乗りました。橋で本土に渡るという選択肢もあるのですが、フェリーで渡る方が絶対に楽しいに決まってます!
しかし、港町パトラに到着するも、なかなかフェリー乗り場が見つけられません。英語がまったく通じない中、身振り手振りで道ゆく人に尋ねてやっとフェリー乗り場にたどり着きました。そのときにはなんと「出発10分前」。ほっとしました。ツイてますね。
アテネからペロポネソス半島に入り一周した私たちはまた本土に戻りました。目指すはデルポイです。