新料理「裏」物語

名前の漢字字体は変えられるの?/これからは尾崎ですよ(前編)

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戸籍の漢字を訂正したい!そう思う人必読の体験談です。

当用漢字にない漢字を姓に登録されていて、不便を感じたことありませんか?

サイトウさんだって、僕の身近な範囲だけでも、「斉藤」、「斎藤」、「齋藤」、そして「齊藤」という人がいます。ワタナベさんも、「渡辺」、「渡邊」そして「渡邉」さんなどいろいろいます。複雑な字体の人は電話口などで自分の名前の漢字をどうやって説明しているのでしょうか。実は僕の姓も変わった字体だったのです。

これから私たちは「尾崎」になりますよ

え?と思われる方も多いと思いますが、今までは「尾崎」ではなかったのです。

今までは、、、

 だったのです。

この「」のために今までたいへん不自由なことが多かったのです。会う人会う人に「」の字を説明するのも面倒だし、普段は「尾崎」と書いていました。そして戸籍上の文字、「」を使うときには、以下の時などに限って使っていました。

  • 役所、及び役所への届けなど
  • 銀行口座
  • 運転免許証

「尾崎」を使う場合

携帯電話の登録、病院の診察券、うちの表札(尾なんて書いたら郵便屋さんが混乱する)、演奏会のプロフィール、様々なところで名前を使いますが、通常の「尾崎」を使っていました。時々、住民票や運転免許などを見せて本人確認する場合、「あれ?この字なんですか?」と言われることが多々あります。

その時の対応は、、、

「好きなように書いてください。「尾崎」でいいですよ」

ということが多かったです。名前はすごく大事だ、と思う価値観の人が多い中、驚きの発言ですよね。正直、こういう面倒なことに小さい頃からたくさん遭遇しているので、正直「ど〜でもいいや!」という気持ちなのです。名前なんか、どうせ管理する側の便利な記号だし、と割り切っています。

およりくん

高校の時にはこの「」の文字を知った友人から「尾寄」(おより)君とふざけて呼ばれていました。

もう一つ、僕の「晋也」の「晋」の字の説明がまた難しい。「高杉晋作の「晋」です」といっても、歴史に興味ない人、山口県関係者以外はなかなか高杉晋作がわからないのです。

それゆえに、電話口で名前を説明する時に「普通列車の「普」の上の点々をとったものです」のような、小学生に説明する感じで説明しなければいけません。

それでも、、、

ちゃんと名前のことを説明しても、たまに郵便物が「尾寄普也」(およりふや)でくるのです。

そもそもなんで「尾」なのか、、、

ルーツは

家のルーツは、鹿児島県の上甑島にあります。僕の曽祖父が上甑島の里というところから旧大口市(現伊佐市)に移り住みました。このあたりの事情は省略〜〜〜。

僕の推測では、元々は「尾」ではなかったのかなと思っていました。うちに伝わる話としては、曽祖父が甑島から旧大口市に移り住み、登録する際に、「尾」を「尾」に役所の人が間違って書いたのではないか、という話があったからです。

調べてみると

戸籍を取り寄せました。

確かに僕の曽祖父、甑島から旧大口市に来た人物は「尾三次郎」です。(のままでした)そして、祖父は「尾末治」。そして父は、、、

あれ!?「尾一治」 になってる!! 

父も混乱していた

僕の育った家では、ずっと「尾崎」と普段は通常の「崎」を使っていました。僕が小学校高学年になった頃父が「もう、大きいのだから本当の字を使いなさい」といい、「尾」と僕のノートに書いたのです。

その時点では父も自分の姓の漢字を  と、信じていました。(こんなことあるのでしょうか。なんか昔はいい加減だったのかな、と感じます)

その後、僕の大学入試のために戸籍のある旧大口市に戸籍を取り寄せに行ってよくみたら、、、

 となっているではないですか!信じていたのと違う!これには家族も愕然としました。両親はそれまで平然と役所でも「尾」と書いていたのでしょうか。

これは家族全員が信じていたとは違ってみな驚きました。

戸籍を見て分かったこと

僕の祖父から父の代に変わる時点で「尾」が「尾」になっています。これは、父の婚姻届に際し、戸籍謄本(尾)を出したのに、当時の戸籍係が「誤って」記載した(尾と)可能性があります。

決定打は、、、

この「」のために私たちは翻弄されてきました。そして、決定打が先日の税務署からの手紙でした。

「尾ゆかり様、お聞きしたいことがあります。つきましては税務署にお電話ください」

妻宛の税務署からの手紙。え〜、なんだろう!? 税務署からお尋ねなんて驚きますよね。 ちゃんと申告しているのに、、、。

翌日電話してみたら、、、。

税務署の人が言うには、「今年の確定申告書の提出がされていませんよ」。

おかしいなと思いました。今年は、コロナのために電子申告にしました。二人分の申告は終わり、受付されているからです。こちらから税務署に、再確認してくださいとお願いしました。

すると後日、税務署から電話がかかってきました。

「尾崎さんの崎の字が違うためにこちらで照合できませんでした」

そうか、昨年までは申請書に手書きで「尾」と書いて出していました。しかし、今年は、税務署より、コロナのために税務署に行って申告書の書き方など相談したりするのを控えるように、とのお達しがあり、電子申告にしたのです。電子申告での姓の漢字「」がさがせなかったので、通常の「崎」、つまり「尾崎」で提出していました。

想像するに、国税局は「提出済み」として、受理したのにもかかわらず、管轄の須磨税務署では、名前の照合が出来なかったために、「未提出」となっていたということかなと思いました。しかし、そんなことあるのでしょうか。須磨税務署の管轄内で、しかも住所、生年月日が一緒なのに、、、。

決断しました

今回の税務署の件で踏ん切りがつきました。金輪際こういうめんどくさいことはなしにしようと思い、妻と相談し、「尾」の「」を「崎」に変えようと決断しました。

方法は、、、

区役所に行き、届け出書類に名前の漢字を変更したい、と記載して提出するだけです。

手続き場所
・本籍地の役所か住居地の役所

届出人
・戸籍の氏の変更は筆頭者・配偶者
(筆頭者や配偶者がいない場合は全員の署名)
・戸籍の名前の変更は本人、15歳未満は親権者

必要書類
・申出書(役所に備え付け)
・印鑑
・戸籍謄本
(本籍地で手続きする場合は不要)

戸籍ガイドHPより

崎、﨑、嵜、㟢のまとめ

漢字の分類法はいくつかあります。その中で、崎、﨑、、は全て戸籍統一文字です。戸籍統一文字は、日本戸籍システムにおいて戸籍に記載できる文字、すなわち戸籍システムが取り扱う必要がある文字のことです。そして、戸籍統一文字番号とは、戸籍統一文字に付された番号のことで、この4つの漢字にはそれぞれ番号がついています。

崎:戸籍統一番号 092550

﨑:戸籍統一番号 094190

:戸籍統一番号 094140

:戸籍統一番号 093300

その中でも、﨑、、は異体字です。異体字とは標準字体とは異なるが、意味・発音が同じで、通用する漢字です。

㟢は、同字です。つまり、漢字の形はちがいますが、同じ意味。そして国が認めている漢字です。

分類によっては、﨑、と、、は俗字です。一般に通用するが、正式でない字です。

実は誤字ではなかった!

正直、上記のように僕の祖先が甑島から旧大口市に移住した際に、「」であったのを、僕の父の婚姻の際に「」に誤って記載したと思われます。誤って記載したとしても、「」は戸籍上使える文字であったわけです。

もし、これが誤字であったら

明治維新後、旧宗門人別改帳に代わって、明治4年の立法にもとづいて、明治5年に戸籍制度(壬申戸籍)が始まりました。当時の戸籍は現代の様にデータ化されたものではなく、和紙に筆墨で書き込んでいく方式で、戸籍を新たに編製・移記したり、婚姻などで入籍する際に、担当の役人の間違いや筆癖等で、正字とは違う字体に見えてしまうことが起こりました。

これが「誤字」です。誤字の扱いは歴史的に変わってきました。

通達による戸籍の文字の扱いの違い

 

昭和25年~平成2年
届出がない限り誤字・俗字はそのまま記載する扱い
例:昭和26年に結婚すると「斎藤(俗字)」のまま戸籍に登録される

平成3年~平成6年
戸籍の変動で誤字・俗字は正字に変更される扱い
例:平成4年に結婚すると「斎藤(俗字)→斉藤(正字)」で戸籍に登録される

平成6年~現在
戸籍の変動で誤字は正字に変更され俗字はそのまま記載される扱い
平成7年に結婚すると「斎藤(俗字)」で戸籍に登録される

戸籍ガイドHPより

つまり、戸籍を移動させると、誤字を使った名前であれば正字に変更されるのですね。

つまり、戸籍の文字がいつの間にか、正字になっていたという人は、戸籍の変動があった際に、変更されてしまった可能性があるという事です。その場合、市町村長が本人に告知する義務はあります。

僕は自分の「尾」の「」は誤字だと思っていました。しかし、これは、正字だったのです。実際に神戸の役所に行って「名前の漢字を変えたい「」は誤字の範疇だから」と戸籍係に伝えたら、ある表を見せられました。その表には「」は正字、と書いてありました!

知らなかった。だから、僕が戸籍を変えた(本籍移動)した時に、この「」は変更されなかったのですね。

後編に続く

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