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チョコレートは好きですか?
みなさん、チョコレートは好きですか?
チョコレートはどのスーパーにも置いてある定番中の定番スイーツですね。日本ではチョコレートの消費量も年々増えていて、1988年に1人当たりの年間消費量は1.56kg。2018年にはなんと2.19kgになりました。しかし、この年間2kg強という消費量は世界的にみるとまだまだ少ないのですよ。
世界の主要国の消費量をみると、1位のドイツは11.1kg、2位はスイスで9.7kgです。日本人の約5倍の量を食べていることになりますね。
多くの人が好きなチョコレート、そのチョコレートと健康について考えてみましょう。
カカオ豆
カカオ豆は他の種と同様に、植物の初期の段階の個体を指すもの、つまり胚が根を発生させるために必要な栄養を蓄えています。「豆」と記述しますが、実は常緑樹カカオの果実の中にある種子のことです。紛らわしいですね。
カカオの実の中に種(カカオ豆)が入っています。
「不飽和脂肪酸」に変換される?
カカオ豆には飽和脂肪酸がたくさん含まれているのです。この飽和脂肪酸は、血中コレステロール値を「上げて」、心臓病のリスクを高めるとされています。ここまで読むと健康に悪そう。
しかし、カカオ・バターの飽和脂肪の多くは、体内ですぐに「不飽和脂肪酸」に変換される特別なものなのです。これは、ステアリン酸がオレイン酸に変換されるからなのですね。
オレイン酸は最近話題になっていますね。オレイン酸は植物油に多く含まれている 「不飽和脂肪酸」で、オメガ9(n-9)系脂肪酸に属します。LDL(悪玉)コレステロールを上昇させないといわれています。体内でも作り出すことができ、また、酸化しにくい特質を持っています。べに花油(ハイオレイック)、オリーブオイル、キャノーラ油(なたね油)等に多く含まれます。
心臓病のリスク原因とは考えられていません
ここまで書いてきたことの通り、チョコレートは心臓病のリスク原因とは考えられていません。もっといえば、心血管等に対して有益であると思われているのです。
カカオ豆には多量のフェノール性抗酸化物が含まれていて、ココアの粉の重量の8%はフェノール化合物なのです。
このフェノール化合物がポイントです
分子内にフェノール性水酸基という構造を多く持つ(複数)植物成分の総称が(ポリ)フェノールですね。これは、光合成によってできる植物の色素や苦味の成分で、ほとんどの植物に含まれています。
体内にたまりすぎた活性酸素は、老化や病気の原因となるといわれていますが、ポリフェノールにはその活性酸素を取り除く働きがあることが知られています。また、血圧や血糖値のコントロールや血流改善、体脂肪の減少といった生活習慣病の予防にも役立つと考えられていますね。
チョコレートのカカオ固形物が高いほど、この抗酸化物質が多く含まれています。いわゆる「ビター・チョコレート(ダーク・チョコレート)」ですね。抗酸化物質はアンチエイジングをはじめ、様々なよい効果が発見されていますよね。
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ダッチ・ココア
最近、日本の市場でもダッチ・ココアパウダーが見かけられます。ダッチプロセスココアまたはダッチドココアとも呼ばれるダッチ・ココアは、アルカリ化剤で処理されたカカオ固形物です。カカオの自然な酸性度を低下させ、ブロマプロセスで抽出された「天然カカオ」と比較して、苦味が少なくなります。しかし、このアルカリ処理によってフェノール化合物の含有率は低くなっているのですよ。
砂糖、乳製品、カカオ・バターなどを加えると、その分、カカオ成分が薄まりますますよね。よって、フェノール化合物の含量が少なくなります。
ミルクチョコレートに含まれる乳タンパク質はフェノール化合物に結合します。そしてフェノール化合物の体内での吸収が少なくなるのです。これらは日本でよく見る板チョコ類などですね。
ここまで読むと、「ミルクチョコレート」よりも「ビター・チョコレート(ダーク・チョコレート)」の方が健康にいいのがわかります。
カフェインとテオブロミン
チョコレートには2種類の関連するアルカロイド 化合物、テオブロミンとカフェインが10対1で入っています。カフェインの方がテオブロミンという物質よりもはるかに神経系に対する刺激は多いです。
テオブロミンは、血管を拡張させて血流量を上げ、体温を上昇させる働きを持つそうです。そして、脳内物質のセロトニンに働きかけて、食欲を抑え、リラックスさせる作用もあるといいます。そして、利尿効果もあります。
しかし犬には危険!
ヒトでは、テオブロミンは肝臓でメチルキサンチンに分解され、その後メチル尿酸になります。イヌやネコでも同じ代謝ルートを経て分解されるのですが、この分解速度がヒト よりも遅いのです。重篤な中毒症を起こすことがあり得ます。
発症するのは、通常チョコレートを食べて数時間から 半日ほど経ってから。症状は、初めは嘔吐、下痢、 喘ぎ、落ち着きのなさ、失禁などがみられます。これらの症状は4時間から5時間後くらいに現れます。そして、動悸、神経過敏、興奮が みられることも多いです。さらに震え、頻脈、心臓のリズム障害、こん睡、痙攣(けいれん)の症状を経て、突然死に至ります。怖いですね。対応としては、すぐに吐かせるなどの方法があります。
犬は人間の与えるものは喜んで食べることが多いです。危険なものもあるので、注意しましょう。
犬にチョコレートはNG です!
チョコレートのカフェインの量
30gの「無加糖」のチョコレートには30mgのカフェインが含まれます。覚えやすいですね。このカフェインの量はコーヒー1杯の3分の1です。
加糖チョコレートやミルク・チョコレートはもっとカフェインが少ないです。
チョコレート願望!
女性にチョコレートに対して依存症のようなものを示す人が多いです。結論から言うと、チョコレートの味に感覚的な経験によっての依存がある、つまり「味」ですね。
実際にはチョコレートには「カンナビノイド」が含まれており、一部の人にはこの物質が精神を活性させ、中毒性があるのではないかと考えられました。このカンナビノイドは大麻にも同類のものが含まれています。しかし、チョコレートに含まれるカンナビノイドはすごく微量なのです。それゆえに、中毒性は実質的に「ない」と思われます。
そして、チョコレートにはフェニルエチルアミンが含まれています。フェニルエチルアミンは、覚醒剤のアンフェタミンやメタンフェタミンの近縁物質であり、生体内覚醒剤とも言われています。このフェニルエチルアミンは体内でも作られるのです。
それゆえにこのフェニルエチルアミンにより特にチョコレートへの依存症があるとはいえないと思います。面白いことに、このフェニルエチルアミンはは最も恋愛との関わりが強いといわれていて、天然の惚れ薬やときめきホルモンなどの別名がついているほどのものだそうですよ。
面白い実験
本物のココアやチョコレートで味がわからないようにカプセルに入れて被験者に飲ませても、「チョコレートが欲しい」と言う願望は消えないことがわかりました。
つまり、チョコレートを食べた時の感覚が忘れられないんです。チョコレートの含有成分への渇望ではなく、味覚への執着ですね。