1970年代の話
考える子供(ひと)/筆者の少年時代/旧谷山市(現鹿児島市)の海岸
場所は旧谷山市(現鹿児島市)小中学校にて、家庭訪問の前によくお知らせの紙が児童、生徒たちに配られました。僕が体験したのは昭和でいうと40年代後半です。その中に書かれていたのは、驚くことに以下の文章だったのです。
「先生たちが家庭訪問されますが、焼酎は出さないでください」
これはジョークでもなんでもなく、多くの家庭で接待として焼酎を出すのが習慣だったんですよ。この「お知らせ」も、なんの驚きもなく、普通に読んでいたのですから、驚きですね。
実際に家庭訪問の際、多くの家庭で先生に「おもてなし」として焼酎を出していたのです。それは、南九州によくある芋焼酎です。
先生も最初の生徒の家庭では、まだしっかりしていたでしょう。しかし、最後に訪問する家庭の頃は、ベロンベロンに酔って千鳥足、と言うこともありました。
そんな感じで、生徒の家庭の状況なんか把握できたのでしょうかね(笑)。
重ねて書きますが、ホントの話です。「子供は見た!」的に僕はたくさん目撃しています。なぜなら僕の父は中学校教諭だったからです。(美術の先生)
竹の子の山
そしてその当時、家庭訪問は竹の子の時期、5月にあったので先生方はよく家庭訪問で「お土産」として竹の子をもらいました。僕のうちなど、父がもらったもので「竹の子販売店」ができるくらいにたくさん竹の子が積んでありました。
僕の父は中学校の教員でした。勤務する学校が家の近くにあったことから、その日の「家庭訪問の(なんちゃって)反省会」と称して、夕方に大勢の中学校の先生方が家に集まったのを何度も経験してます。なんとどこから聞きつけたのか小学校の先生方もいました。家に集まる頃は、もうすでに、家庭訪問で焼酎をたらふく飲んで「出来上がった」状態で皆集まっていたので、半ばどんちゃん騒ぎです。反省会なんて形だけした。なんとおおらかなんでしょう。今だったら、「とんでもないこと」ですよね。
近年の例で見ると
国税庁の「酒税課税状況表」を基に計算すると、2018年度の単式蒸留焼酎の成人1人当たり1ヶ月の消費量についてみると、都道府県の中では鹿児島が最も多く1,776.2mlで第1位。次いで多い方から2位が宮崎(1,495.6ml)、3位が沖縄(974.6ml)、4位が大分(716.8ml)、5位が熊本(714.0ml)。
鹿児島は堂々一位ですね。
単式蒸留焼酎(本格焼酎または焼酎乙類ともいう)には、泡盛(あわもり)、芋焼酎(いもしょうちゅう)、黒糖焼酎(こくとうしょうちゅう)、米焼酎(こめしょうちゅう)、蕎麦焼酎(そばしょうちゅう)、麦焼酎(むぎしょうちゅう)があり、単式蒸留機で蒸留し製造したアルコール度45度以下のものをいいます。
現在は
現在、過去のように、鹿児島では先生たちが家庭訪問の時に焼酎を出され飲んでいる、というサイトは見当たりません。(あったらスキャンダルですよね)過去の「焼酎付き家庭訪問」も忘却の彼方にあり、そういうことを記述する人もいません。インターネット上でも探せません。
しか〜し!僕は覚えてます。教員の息子として渦中にあったので、今も大脳皮質からそのころの鮮明な記憶をいつでも取り出せます。
小学2年生の頃、夜、テレビのゴールデンタイムに「好きな番組」を見ている時間に、先生たちがうちにドッと押し寄せて邪魔され(毎晩ですよ!)、我が家でうるさ〜く反省会ならぬ大宴会で「エライ迷惑!」だったからです!
明るく生きようと決意を新たに 笑う子供(ひと)