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カラメル化・分子の崩壊
加熱するとどんな糖でも分子の崩壊が始ります。その時点で起こる化学反応は「カラメル化」です。分子が崩壊することにより、増幅的に化学反応が始まるのです。カスタードプリンの作り方も合わせてご覧ください。
カラメル化による風味
とても不思議ですが、砂糖は無臭です。
それに熱を加えると、何百種類もの分子が生じるのです。温度によって変わるのですね。そして、複雑な風味と濃厚な褐色になります。匂いの元は以下のような芳香成分からなります。
- アルコール
- アセトアルデヒド(シェリーのような風味)
- 酢酸(食酢のにおい)
- ジアセチル(バター臭)
- 酢酸エチル(果実臭)
- フラン(ナッツ臭)
- ベンゼン(有機溶媒臭)
- マルトール(トースト臭)
カラメルの作り方(カラメル化の方法)
- 砂糖に水を少々加える。
- 水分が飛んで溶けた砂糖が色付くまで加熱する。
- ちょうどいいカラメル色になったら、火から下ろしてさらに水を加える。
なぜ、加熱する前に水を加えるのか
強火で作るために、焦げることを避けるのが目的です。
水があるとシロップの加熱時間が長くなるので、一連の反応が起こるのが長くなります。それが、砂糖だけを使って短時間で作るのは違い、風味が増すのです。
水があると、ショ糖がブドウ糖と果糖に分解しやすいのです。
カラメル化の「カラメル」という言葉
このカラメルという名称は、元々は色が「麦わら」と似ていることから来ています。
初めてカラメルの言葉が使用されたのは、17世紀フランスです。
それは、「細長い棒砂糖」または「つらら」を意味するもののポルトガル語の Caramel がスペインを経て、フランスに入ったようです。このポルトガル語の Caramel の語源は「葦」を意味するラテン語の Calamus です。
ちなみに、ギリシャ語の Kalamos は「麦わら」という意味です。その語源は、牧草を意味するインド・ヨーロッパ語なのです。イタリア語でイカのことを Calamari と言います。これも、語源は一緒。干し草、部分精製糖、熟した砂糖シロップ、擬態で色を変化させるイカ、どれも「茶色」という共通点があるのです。カラメル色ですね。
カラメル着色料のこと
キャラメル・キャンディーやカラメル・シロップは何世紀も前から作られてきました。この「焦した」砂糖で茶色を出すことは古い方法なんですね。
食品着色料としてもカラメル・シロップは利用されてきました。それは、19世紀、ヨーロッパとアメリカで始まっています。今では、着色料の中では一番使われているのですよ。
コーラ、ルートビアー、などの清涼飲料水、蒸留酒、キャンディー、その他、様々なものに使われています。深みのある茶色の色をつけているのですね。
この色素分子はなんと抗酸化活性もあるのです。それは、風味の保持に役立っています。
初めは、砂糖シロップを蓋のない鍋で加熱してカラメル色素を作っていました。やがて着色度を細かく調整できる密閉式の減圧鍋が導入されました。色素の分散性や乳化性を高めるために様々な科学物質が添加されるようになったのです。
似ているものにメイラード反応がある
メイラード反応は糖とアミノ酸が存在するときに起こる現象です。それに対して、カラメル反応は糖のみでも起こる現象なんですよ。
肉をはじめ食材は加熱調理によって茶色くなりますよね。香ばしい風味を醸し出していかにも美味しそうです。これをメイラード反応(または、アミノ・カルボニル反応)と呼びます。
トーストやせんべいの焼き色、ご飯のおこげ、コーヒーやチョコレートの色も、すべてこのメイラード反応の結果なんです。
メイラード反応の話題はリンク先をご覧ください。
カラメル化の話題は、カスタードプリンのレシピにも書いてあります。