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中国には中華料理はない?
日本でよく食べられる「中華料理」とは日本人に合うようにアレンジされた「中国風料理」のことを指します。(じゃ~今まで食べてたのは、主に「中国風」料理だったんだ!)中国では、中華料理という言葉は使われません。
それでは、「中国料理」の定義は、「中国で食べられている料理」。日本では、「中国料理」と看板を出しているお店は「お高い」ところが多い印象ですが。。。中国本土では四川や広東などの地域ごとに料理を分類して看板出していることが多いです。
それでは、我らが日本の「中華料理(中国風料理)」の代表的なものをあげていきましょう。
\僕がよく使っている調味料です!/
1)中国料理には焼餃子はない?
餃子といえば、中国では「水餃子」、「蒸し餃子」のことです。基本、中国のレストランには「焼餃子」はありません。
上海などでは「上海鍋貼」(シャンハイグオティエ)というちょっと「焼餃子」っぽいのはあります。しかし、名前のごとく、鍋に貼ったような状態で、どちらかというと蒸し焼きに近いです。
ちなみに餃子をおかずにごはんを食べる習慣は中国にありません。餃子はおやつ感覚という感じなんですよ。
餃子定食は中国人には残り物に見える!?
日本には大手のチェーン店のように「餃子、ご飯、スープ」という定食もありますね。大変人気があると思います。ある餃子のチェーン店は中国進出しましたが、その後、売れないので撤退しています。「焼餃子」の中国でのイメージは日本のものとちょっと違うのです。「残り物」的なイメージなのですね。前日に残った「水餃子」や「蒸し餃子」を、フライパンで炒めて食べる、という食べ方があるからなんです。なので、「残り物定食」みたいに見られたのだと思います。
2)中国料理には冷やし中華はない?
これは昭和初期に出現した、我が国独自の食べ物らしいです。考えてみると、中国ではあまり冷えたものを口にする習慣がなく、いわゆる日本のレストランで一年中出でくる「お冷や」(水)にしても中国人にはとても冷たくて違和感があるみたいです。
冷たい食べ物は中国にあるのか
冷たい料理は死者が食べるもの、縁起が悪いという意味合いもあるらしいですよ。そして、冷たいものは身体に悪いと考える中国人が多いのも事実です。これは東洋医学に基づく考えですね。暑くて体を冷やしたいときは「実際の冷たいもの」を食べて冷やすのではなく、「冷やす効能のあるもの」を食べて冷やそうとします。
では、「冷」と書いたものはないかというと、「冷菜」というジャンルがあります。この場合の「冷菜」は冷やしてあるという意味ではありません。温かくない料理のこと、ほぼ「常温料理」ですね。ですので、冷やした麺も一般に中国にはないのです。
サラダに見えた冷やし中華
ちなみに、日本にきたばかりのある中国人留学生は野菜がたっぷりのっている冷やし中華を見て、「サラダか?」と思ったそうです。詳しく書くと、中国には冷麺(ロンミエン)という麺もありますが、麺だけで出てくることが多いからです。あと麺が見えないと、「麺って言うけど麺はどこにあるのだろう?!」と不安になる感覚でしょうね。
3)中国料理には天津飯はない?
これは中国の人には「オムレツのせご飯」に見えるらしいです。どうも日本人は中華料理と言うと、「餡」(あん)かけのものを総像する人が多いらしいですね。中国ではそれほど多くないんですよ。我が国で、関東では「天津丼」、関西では「天津飯」と呼ばれます。すでに大正時代の日本の文献に「天津飯」は見られるのですよ。
どんぶりのない中国
中国では基本、ご飯とおかずは別に盛ります。いわゆる丼飯(どんぶりめし)は一般的ではないのです。そもそも、どんぶり、が中国にはありません。
「盖浇饭(蓋澆 飯、ガイジャオファン)」
平皿にご飯とおかずが一緒に盛られている「ぶっかけめし」はあります。中国語では「盖浇饭(蓋澆 飯、ガイジャオファン)」「盖饭(蓋飯)」と呼び、蓋=ふたをする様に、澆=かける、飯= ごはん、なのです。汁気のある炒め物をご飯にかける「燴飯(ホイファン)」もありますが、ワンプレートディッシュという感じですね。
「日式蓋飯」というもの
日本の丼物は「日式蓋飯」として表記されるくらいですから、「天津飯」は日本製です。やはり、日本は丼文化が多いですね。「牛丼」「カレー」(中国では「日式蓋飯」)などなど。ちなみに、「ご飯が見えないほど具が乗ってる!得だ!」と思うのは日本人。中国では見えないものは信じません。「見えないけど、この下はどうなってるの?」と考えます。実証主義的な生き方なのです。
中国料理には「中華丼」もない?
天津飯だけでなく、ご飯に八宝菜を掛けた「中華丼」も日本発祥の中華料理です。中国では「八宝菜」はそれで「おかず」として食べます。それゆえに、中国には「中華丼」という料理はありません。
4)中国料理にはエビチリもない?
中国には「宮保蝦仁(ゴンバオシアレン)」とか「乾焼蝦仁(ガンシャオシアレン)」とか、海老をメインの具材とした料理はあります。しかし、日本の「エビチリ」のように、餡がかかっていないのです。
これは、陳 建民(ちん けんみん 中国系日本人1世)が考案した日本で生まれた中華料理です。今では、香港と台湾では「乾燒明蝦」と書くことも多いと聞きます。日本人は豆板醤の辛味に慣れていなく、どうしたら日本人の好みにあうかと試行錯誤して作られたのがこの「エビチリ」なんだそうです。ケチャップの普及にも助けられて、家庭でも多く作られるようになりましたね。
5)中国料理にはエビマヨもない?
これもメイドイン・ジャパン。日本発信の周富徳のオリジナル料理です。彼がロサンゼルスの中華料理店で食事していたときに、海老をマヨネーズで味付け(アメリカらしいですね)が出てきたそうです。その料理をアレンジて作ったのがこの「エビマヨ」。
6)中国料理にはラーメンもなかった
中国人の多くは日本でラーメンと食べるのが好きなんだそうです。それは故郷の味、を懐かしむものではないのですよ。これは完全な「日本の料理」として楽しんでいるのです。中国人観光客にとても人気があるのはその理由です。ちなみに、日本の中華料理は中国人には人気がありません。その理由は日本の中華料理は日本人の口に合わせて作られており、中国人の口には合わないということです。
日本の麺と中国の麺、どこが違うの?
日本のラーメンの原型となった中国の麺料理は、中国では「拉面」、台湾や香港などでは「拉麺」です。日本のラーメンは「日式拉面」。どこが違うかというと、「日式拉面」と中国の拉麺(拉面)において、鹹水(かんすい…アルカリ塩水溶液)を加えるか加えないかという点です。
「日式拉面」は鹹水を加え、これによってあのシコシコ感が出てくるのです。それに加えて、「日式拉面」は出汁にこだわっています。
僕にとって意外だったのは、中国人観光客に「豚骨ラーメン」が人気あるということです。理由は、「中国にないコッテリとした味付け」らしいです。しっかり味がついている「豚骨ラーメン」に人気があるようですね。そういえば、僕が時々行く神戸の中国人の経営する中国料理のオーナーは「日本のラーメンは中国の麺料理と違って脂っこいね」と言っていました。
7)中国にラーメンどんぶりもない
ちなみに、「ラーメン模様」が特徴のラーメン丼。あれも中国にはありません。
まだまだ日本では創作中華料理が出現する可能性があります。中国人の多くは反発していません。「美味しければいいじゃん!」というスタンスです。その上で、「中華料理」と呼ぶ我々の感性に、中国料理への尊敬も感じる人もいるということです。
よく中華料理を作る人へ
僕はこの沙茶醤(サーチャージャン)が大好きでよく料理に使います。沙茶醤(サーチャージャン)とは、ヒラメなどの魚介をベースにニンニク、ゴマ、香辛料、植物油を加えて煮込んだ調味料なんです。これを使うと一気に台湾料理の味になります。香りがよく、どの食材にも会うので、おすすめです。麺類の具を炒めるときに沙茶醤(サーチャージャン)を加えると台湾ラーメン風になりますよ。
空芯菜を沙茶醤(サーチャージャン)で炒めると格別です。(このあいだ、東京の台湾料理で注文したら空芯菜がきれていて、たべられなくて残念でした。)