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スパイスを古代人はどのようにあつかったか

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古代世界の宗教において、スパイスは精神的な充足感を象徴しました。そして、スパイスにより感情的な喜びを体験することもできたのです。

ソロモンの雅歌(聖書 4章12~15節)

旧約聖書の中の「ソロモンの雅歌」の中にはこう書かれています。

わが妹、わが花嫁は閉じた園、閉じた水源、封じた泉のようだ。
あなたの産み出す物は、もろもろの良き実をもつざくろの園、ヘンナおよびナルド、サフラン、しょうぶ、肉桂、さまざまの乳香の木、没薬、ろかい、およびすべての尊い香料である。
あなたは園の泉、生ける水の井、またレバノンから流れ出る川である。北風よ、起れ、南風よ、きたれ。わが園を吹いて、そのかおりを広く散らせ。わが愛する者がその園にはいってきて、その良い実を食べるように。

コーラン 76章 11~17節

イスラム教の聖典「コーラン」の中にもスパイスの記述が見つかります。

それでアッラーは、その日の災厄からかれらを守り、素晴しい喜びを与えられる。
かれらが耐え忍んだので、かれは楽園と絹(の衣)でかれらに報われ、その(楽園の)中で、寝床の上にゆったりと身を伸ばし、かれらは酷暑の太陽も、氷る寒気もおぼえないであろう。
樹木の)木陰はかれらの上を覆い、(果実の)房は慎ましく垂れ下る。
銀の水差しとガラスの杯は、かれらの間に回されよう。
ガラス(の杯と見えたの)は銀で造られていて、かれらは好みの量をそれに満たす。
かれらはそこで、生姜を混ぜた杯の飲物を与えられよう。

古代ギリシャでは

古代ギリシャ・ローマ時代には、スパイスは主に宗教儀式や香水に使われていました。今のように誰もが食べ物と思っていたわけではないのですね。

テオプラストス(古代ギリシャの哲学家) De causes Plantarum (植物成因論)紀元前3世紀

テオプラストスの著書「植物成因論」は紀元前3世紀に書かれました。この中にもスパイスの記述があります。

「疑問なのは、芳香成分やほかの香り高いものが、ワインには良い味をだすのに、それ以外の食物では味をよくするものではないということである。いかなる場合でも、食物が調理されているかによらず、そのような香りの高いものは食物を台無しにする。」

プルタルコス 倫理論集 紀元後2世紀
(帝政ローマのギリシャ人著述家)

プルタルコスの著書「倫理論集」から、スパイスが必ずしも食物に必要ではなかったと言うことが読み取れます。

「今日、我々は肉を”補うもの”を必要とする。油、ワイン、蜂蜜、魚のペースト、酢に、シリアやアラビアのスパイスを混ぜ合わせる。あたかも本当の死体を埋葬のために防腐処理するかのように。」

古代はスパイスに対する感覚が違う

このように必ずしも、スパイス イコール 食べ物という発想は古代にはなく、むしろ、儀式などのために重要な役割をしていたのですね。

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